研究課題
基盤研究(C)
令和元年に改正された独占禁止法において,課徴金減免制度に調査協力減算制度が導入された.この新制度は,制度への申請順位2位以下の企業への課徴金の減算率の決定について,公正取引委員会の裁量が大きくなった.本研究の目的は,調査協力減算制度が,同制度を申請する企業に対して,証拠提供を抑制するようなインセンティブを与える可能性があるかどうかを検討することであった.経済実験により,証拠量を変更できる場合と変更できない場合での,企業の利益の比較では,変更できる場合の方が有意に高くなることがわかった.
実験経済学
調査協力減算制度が導入された背景は,以前の課徴金減免制度ではカルテルの証拠が十分に集まら なかったためである.本研究の成果は,このような改正が従来の課徴金減免制度を改善できるかを検証するものであるので,今後の同制度の運用に対して社会的意義のある研究である.また,経済学理論を検証する仮説としているので,学術的には複数のナッシュ均衡がある状況で,どのような均衡が選ばれやすいかを調べるものである,選ばれる均衡に系統だった傾向が発見できた本研究は,経済学理論に対しても,学術的な意義のある研究である.