研究課題/領域番号 |
19K01572
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
沖 公祐 香川大学, 経済学部, 教授 (60361581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マルクス経済学 / 批判的実在論 / 経済学方法論 |
研究実績の概要 |
本研究は、西欧マルクス派による批判的実在論を巡る論争を検討するとともに、それによって、マルクス経済学の原理論研究に新たな方法論的枠組みを提起することを目的としている。この研究目的を達成するために、(1)日本のマルクス経済学が抱えている問題の洗い出しを行う、(2)西欧のマルクス派における批判的実在論に関する諸研究の検討を行う、(3)批判的実在論の検討を踏まえて日本のマルクス経済学の直面している課題を解決するための方向性を探る、という三段階で研究を進める計画である。本年度は、このうち、(1)と(2)について研究を進めた。 (1)については、『経済学史』(野原慎司、高見典和との共著)のなかで、マルクスからはじまるマルクス学派の流れを丹念に跡付けた。その結果、度重なる論争を経て、マルクス学派が社会的再生産という視角を中心とする経済学に収斂してきたという事実が析出された。また、戦前日本のマルクス学派における代表的論争である日本資本主義論争についても、社会的再生産という観点から論点整理を行い、研究会において報告を行った。 (2)については、批判的実在論のみならず、経済学方法論に関する文献も収集し、検討を行うことによって、批判的実在論の独自性と他のアプローチとの共通性を確認した。すでに収集していた文献も少なくないため、本年度の研究には大きな支障はなかったが、新型コロナウイルス流行の影響で、新たな文献を収集することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大枠では、当初予定していた研究計画に通り進めることができたが、3月に東京大学図書館で行う予定であった文献収集が新型コロナウイルス流行の影響で実施できなかったため、文献収集に若干の遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
批判的実在論に関する文献の検討をさらに進め、マルクス経済学の観点から批判的実在論を検討した論文を本年度中にまとめる予定である。海外出張や学会報告も行いたいが、新型コロナウイルスの流行が収まらない限り、難しいかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行の影響で、出張が中止となったため。
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