研究課題/領域番号 |
19K01574
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
高見 典和 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (60708494)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クープマンス / 現代史 / 数理経済学 / シカゴ学派経済学 |
研究実績の概要 |
本研究は,クープマンスを中心とした20世紀半ばの数理経済学に関する方法論的研究を志向しているが,今年度は,クープマンスに関する研究に加えて,同時代の計量経済学の応用的研究を主導したシカゴ学派の経済学者について調査した。まず,クープマンスに関する研究として,T. Duppeの"Koopmans in the Soviet Union" (2016, Jounal of the History of Economic Thougth)などを読み進めた。本論文によれば,クープマンスは,数理経済学が社会制度に先行する個々人間の経済的関係を描写したものなので,資本主義か社会主義かに関係なく適用できると考えていた。この主張は,本研究計画にも重要な視点を提供する。 次に,シカゴ学派については,ジョージ・スティグラーの自伝,Memoirs of An Unregulated Economist(1985, Chicago University Press),ミルトン・フリードマンとローズ・フリードマンのTwo Lucky People: Memoir(1998, Chicago University Press),Johan van OvertveldtのThe Chicago School: How the University of Chicago Assembled the Thinkers Who Revolutionized Economics and Business(2007, Agate B2)などの諸文献を読み進めた。シカゴ学派の産業組織論が,計量経済学の普及の大きな契機になったと考えられるため,スティグラーやレスター・テルサーらの研究は,本研究計画にも大きく関連すると考えている。彼らの研究は,計量経済学への習熟が経済学者にとって必須のスキルであることを明確にしたと考えられる。 以上のように,20世紀後半の数理経済学の歴史に通底する,様々な方法論的関心を徐々に捉えることができるようになってきたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
20世紀後半の数理経済学の展開を,理論研究と応用研究を含め幅広く理解していくことが,この研究の一つの目標であるので,この点で,多様な二次文献を読み進めてきたことは確かな進捗だと言える。クープマンスの在籍したコウルズ委員会と,その後の経済学の展開に大きな影響を与えたシカゴ学派という2つの軸を中心に見ていくことが有効であり,そうすることによってこの時代の様々な分野の発展を整合的に捉えることができると考えている。特に現在の状況では,海外のアーカイブを訪問することが難しいため,この状況で可能なことを着実にするめることができたため,確かな研究上の進捗があったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度から在籍する研究機関が変わり,以前よりもアクセスできる資料が増えたため,データベースを活用した研究を進めることができるようになった。ProQuestなどの新聞記事データベースによって,スティグラーが関わった政策論争の歴史的背景を探ることも可能になる。1969年にスティグラーは,価格差別禁止法に関する議会調査に参加しており,この調査の背景を考察することを計画している。また,近年の経済学史研究を引き続き読み進める。例えば,P. MirowskiとE. Nik-khahのThe Knowledge We Have Lost in Information(2017, Oxford University Press)などが関連する図書として挙げられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外へのアーカイブ調査を実施することが難しかったため。
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