研究課題/領域番号 |
19K01576
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
金井 辰郎 東北工業大学, ライフデザイン学部, 教授 (90332022)
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研究分担者 |
楠木 敦 北星学園大学, 経済学部, 准教授 (50711420)
宮崎 義久 宮城大学, 事業構想学群, 准教授 (60633831)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 米田庄太郎 / 一般均衡理論 / 高田保馬 / 社会学 / 力学的社会学 / L.ウィニアルスキー / V.パレート / 経済学読書会 |
研究実績の概要 |
今年度は、金井(2024a)、金井(2024b)、楠木(2023)、楠木(2024)、楠木の発表(2024)、楠木(2024*)、宮﨑の発表(2023)、本吉(2024*)、金井ら(2024)をまとめた。昨年度以前も含めた全体としての結論は以下の通りである。本研究では「米田博士講義録」を手がかりに、米田の一般均衡理論導入に果たした役割を検討した。(1)その時期について。米田は初期講義の早い段階(ノート2=1908~9年、ノート67=1911~1916?)で、ウィニアルスキー、パレート、ワックスワイラーらの力学的社会学を講義中に説明した。それは池尾(2006)のいう日本への一般均衡理論導入の「4つのルート」(そのうちの最も早いものは1921-2年とされる)のどれよりも早い。(2)その内容について。安井琢磨ら日本における初期一般均衡理論研究者は、典型的にはシュンペーター=アモン=カッセルから同理論を学んでいるが、米田はその系統とは異なるウィニアルスキー=パレート=ワックスワイラーの理論を紹介している(金井 2024a)。高田はシュンペーターについて、小川郷太郎や京大の経済学読書会から影響を受けつつ、『発展』には目を通していたものの、『本質』を入手できず読むことができなかった。その後、1921年の東京商大赴任によりようやく同大所蔵の『本質』を借りて読むことができ、初めてシュンペーター経済学に本格的に取り組み一般均衡理論を理解できたという(楠木 2023)。すなわち、(1)からは高田が米田から一般均衡理論の存在を教示されたことは確かであると思われるが、(2)のように高田は米田とは独立に(結果的には他の一般均衡理論研究者同様に)シュンペーター他から同理論を学んだ可能性が高い。このような理解は、今日までの一般均衡理論導入史研究において示されていなかったと思われ、意義があると考える。
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