研究課題/領域番号 |
19K01577
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
壽里 竜 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20368195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒューム / ルソー / 奢侈 / エピクロス主義 / 啓蒙 / 啓蒙思想 / 18世紀 |
研究実績の概要 |
今年度は、4年に一度開催される国際18世紀学会大会(スコットランド・エジンバラ)において、The Cosmopolitan Identity of an Enlightenment Philosopher: David Humeというセッションの報告者の一人として、Enlightenment and Independence: The Case of Hume and Rousseauと題する報告を行った。本報告は、ヒュームとルソーがともにindependenceに大きな価値を見出していたことに着目しながら、そのindependenceの捉え方の違いが両者の決裂につながったことを明らかにするものであった。同時に、啓蒙思想におけるindependence概念の重要性を示すことも意図していた。残念ながら、セッションのとりまとめ役であった、著名な18世紀思想研究者Gianni Paganini氏は事情により出席されなかったが、Paganini氏とはその後も研究上の交流を続けている。 加えて、2020年7月にコロンビアで開催予定だったInternational Hume Conferenceに提出したペーパーTwo Epicureans on Happiness How Hume read Rousseau's Julieもアクセプトされた(ただし、コロナウィルス問題により、この大会は2021年度に延期されることになった。ヒュームとルソーの奢侈論は、前者の論説「技芸の洗練について」と後者の『学問芸術論』『人間不平等起源論』との対比で語られることが多いが、本報告はルソーの『新エロイーズ』における理想化された農村共同体においてジュリーの示す奢侈のあり方を、ヒュームがどのように理解したか(実際にヒュームはルソーの『新エロイーズ』を高く評価している)を探る試みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究課題の初年度における進捗状況はおおむね順調である。当初予定していた通り、国際学会で報告を果たすことができ、来年度の国際学会のペーパーもアクセプトされた。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、コロナウィルス問題により、2020年度に報告を予定していた学会が一年間、延期された。報告資格は残っているが、大学業務との兼ね合いもあり、来年度の日程で参加できるかどうか、未定である。また、2021年度に予定していたスイス、フランスにおける現地の資料調査ができるかどうか、やや不透明な状況である。
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次年度使用額が生じた理由 |
専門的な知識を必要とするフランス語の校閲で謝金を支払うにあたり、フランスへ送金する可能性があり、一定の振り込み手数料・送金手数料を残しておく必要があったため。だが、執行率は99.9%であり、残額は719円にすぎない。この719円は、2020年度に、本研究課題に使用する消耗品(文具類)を購入するために支出する。
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