研究課題/領域番号 |
19K01578
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
久松 太郎 同志社大学, 商学部, 教授 (60550986)
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研究分担者 |
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 山片蟠桃 / 大知弁 / 効率市場仮説 / 情報 / 堂島米市場 |
研究実績の概要 |
2022年度は、2020・2021年度と同様に、新型コロナ感染症拡大防止のため、対面での研究会の開催を避け、オンラインでJET(Japanese Economic Thought)研究会、その他メール会議を行った。 当該年度の研究の大半を占めているのは、経済思想史分野における有力誌The European Journal of the History of Economic Thoughtに2022年6月14日付で投稿した論文の改訂・再投稿作業である。投稿当初の構想は、市場の効率性に関する考えをもっていたとされる19世紀初頭のイギリス経済学者ローダーデールの学説を、山片蟠桃の『大知弁』での学説と対比させることで、後者の持つ優位性や特殊性をつまびらかにすることであった(ディスカッション・ペーパー“Efficient Market Theorists in the Early Nineteenth Century: The Earl of Lauderdale (1759-1839) and Yamagata Banto; (1748-1821)”)。しかし投稿先のレフリー・コメントを受け、次のように研究の方針を改めた。まずは19世紀後半以降のフランスにおける効率市場仮説の歴史的系論に関する研究論文を再検討し、次にその系譜の先駆に蟠桃学説を位置づけつつ彼固有の貢献をクローズアップさせることにした(ディスカッション・ペーパー“The Role of Information in the Rice Exchange: Yamagata Banto's Great Knowledge (1806)”)。結果として、この論文は投稿先のジャーナルに受理され、年度末にオンラインで先行公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度の比較的早い時期に論文を投稿できたこと、投稿先のレフリーからきわめて有益なコメントを得られたこと、改訂・再投稿に際しての新たな研究文献の整理・精査も手際よく着実に行えたこと、それらの結果として投稿論文が定評ある国際ジャーナルによって掲載受理され、年度内にオンラインで先行発表されたことなどから、研究の順調な進捗は認められる。しかし、出版手続き等の関係から年度内での本誌での掲載が間に合わず、研究事業の一部を2023年度に持ち越すことを余儀なくされたことで、研究の進捗状況を完全に順調なものであるとは判断し得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、The European Journal of the History of Economic Thoughtでの掲載が決まった論文に組み込めなかった論点を整理し、次の段階の研究への道筋をつける。また、それと並行して、2022年度からの課題であった山片蟠桃『大知弁』の英訳の完成を目指す。英訳に際しては、可能な限り海外の研究者との協力を得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
The European Journal of the History of Economic Thoughtに投稿していた論文の条件付き受理が2023年1月、受理が2月であったため、また円安の影響もあり、オープンアクセスのための費用として残しておいた金額(オープンアクセスに必要とされる平均的な金額を残しておいた)の年度内での使用が困難であった。2023年度は、先行発表後でのオープンアクセス権の購入等を含めて、出版社と交渉する予定である。もしそのために残額を使用できなければ、『大知弁』の英訳に際して発生すると思われる経費としてそれを充てる予定である。
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