研究課題/領域番号 |
19K01583
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
姜 興起 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70254662)
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研究分担者 |
姚 峰 香川大学, 経済学部, 教授 (90284348)
野田 英雄 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 教授 (90347724)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ビッグデータ / 経済変動 / 景気予測 / ベイズ法 / 動的構造分析 / 経済データ分析 |
研究実績の概要 |
2019年度は、主に次の研究課題に取り込んだ。(1)two mode regressionモデルに基づき、日本のGDPと商業販売額の間の動的影響関係を解析した。構築のモデルでは、時変回帰係数、GDPおよび商業販売額の時間的ずれを表すラグパラメータを組み込んでいる。なお、商業販売額は卸売業と小売業で別個に検討した。(2)時変係数を持つ回帰モデルを用いて、日本の商業販売額と訪日中国人観光客数間の動的関係を小売業の主要部門について分析した。従属変数は商業販売額(対数値)、説明変数は総合消費水準指数(対数値)と訪日中国人観光客数(対数値)である。回帰係数は時変パラメタとして扱い、ベイズ法で推定した。また、最小AIC法を用いて訪日中国人観光客数の各セクションの小売商業販売額に対する影響の有意性分析を行った。(3)日本の株価変動と景気動向の関係解析および、日中証券市場の動的相互影響分析を行った。 主要な結果は次のとおりである。(1)商業販売額とGDPの関係解析では、卸売業について拡張期における商業販売額はGDPに1年ほど遅行した変動が目立つ。また、3ヵ月先行する変動も見受けられ、後退期においては両変数がほぼ一致して変動している。小売業については、拡張期における商業販売額はそれぞれGDPに2ヵ月ほど遅行して変動するのに対して、後退期においては2ヵ月先行している。(2)訪日中国人観光客数と商業販売額の関係解析について、次のような結果を得た。まず、観光客数の販売額乗数を見ると、各種商品の部門で観光客数の販売額乗数は年々増加し、特に2013年以降、大幅な増加を示している。他の部門では、観光客数の販売額乗数に顕著な変化は見られない。観光客数の商業販売額に対する弾力性については、自動車の部門において大きな弾力性値となっているが、他の部門では弾力性値が相対的に小さい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
景気変動メカニズムを解析するためのモデル構築に大きな進展が見られた。並行して、証券、株価、観光者数やPOSデータなどのビッグデータを活用した景気動向分析にも取り組んでいる。研究代表者と分担者は、共同で多くの研究成果を国内外の学会で発表し、国際学術誌にも掲載・投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に当初の研究計画に沿って研究を進めつつ、重点的な課題として分析手法の体系化に取り組む。令和2年度は、景気変動のメカニズムを解明するための実証研究を深めながら、より広範囲に精緻な分析手法の構築に向けた研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)今年度、論文審査の進捗により、論文投稿にかかわる支出額が当初の見込みより下回った。よって、次年度論文投稿関連支出額の増加を見込んでいる。また、国際会議への参加旅費の支出額も増加する見込みである。そのため、計画的に今年度の研究費を次年度に回すこととした。 (使用計画)論文投稿料を100千円程度計上し、2021年2月33日~5日、ロンドンで開催の国際会議 The 4th International Conference on Big Data and Education に参加するための旅費を200千円程度計上している。
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