研究課題/領域番号 |
19K01583
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研究機関 | 新潟経営大学 |
研究代表者 |
姜 興起 新潟経営大学, 経営情報学部, 教授 (70254662)
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研究分担者 |
姚 峰 香川大学, 経済学部, 教授 (90284348)
野田 英雄 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 教授 (90347724)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 景気予測 / ビッグデータ / 経済変動分析 / 景気動向指標の構築 / ベイズ法 / 原油価格変動分析 / 時系列の成分分解 |
研究実績の概要 |
2020年度は、主に次の研究課題に取り込んだ。(1)景気動向指標の構築法を提案した。(2)長周期循環変動を含む時系列成分分解のための超トレンド法を提案した。(3)世界主要市場原油価格指数の動的変動相互影響のメカニズムの解析法を提案し、中国市場の原油価格指数のアメリカ、ヨーロッパ及び日本の各市場の原油価格指数に対する影響力の分析を行った。 主要な結果は次のとおりである。(1)の提案法では、最大固有値法を用いて、現在利用されている景気動向分析の一致系列をトレンド成分と循環変動成分に分解し、各系列の循環成分の第一固有ベクトルを用いて景気動向指標(IBC)を構築した。GDPとの相関関係、構築したIBCは現在利用されているCI一致指数よりも景気動向を正確に反映できることを実証した。(2)景気動向分析において経済指標の成分分解は重要な手続きである。従来の手法としてDECOMPがよく知られている。しかし、経済指標に長周期の循環成分を含むものが多いが、DECOMPでは上手く対応できない場合がよくみられる。そこで本研究では新たに超トレンド法を提案した。日本の商業販売額の20系列と景気動向分析の30系列を用いて検証した結果、DECOMPよりも提案法が有効である。(3)多変量時系列因果分析の理論を用いて、原油市場価格指数変動における国際的推移のメカニズムの解析法を確立した。また、実証分析の結果、中国市場の原油価格指数はアメリカ、ヨーロッパ及び日本等の各市場の原油価格指数に対する影響が顕著である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
景気変動メカニズムを解析するためのモデル構築や実証分析に大きな進展が見られた。並行して、日本の景気動向に大きな影響力のある原油市場価格指数について国際的影響関係のメカニズム分析にも取り組んでいる。研究代表者と分担者は、多くの研究成果を国際学術誌に掲載・投稿した。ただし、新型コロナウイルス感染拡大に関わる社会情勢により、研究成果の国内外の学会での発表が制限された。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に当初の研究計画に沿って研究を進めつつ、重点的な課題として分析手法の体系化と精緻化に取り組む。2021年度は、景気変動のメカニズムを解明するための実証研究をさらに深めながら、より精緻で実用性の高い分析手法の構築に向けた研究を行う。また、新型コロナウイルスの影響による学会報告の欠如を補うために、本研究の計画を2022年度に延長することも視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度では、新型コロナウイルスの影響により国内外学会への参加に支障があったので、主に旅費の未使用分によって次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて約2,000千円となる。使用計画として、研究代表者と分担者が研究打ち合わせのための旅費に400千円を計上し、国内外学会参加の旅費に1,000千円を計上し、論文投稿料や英文校正の代金を600千円と見積もっている。
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