研究課題/領域番号 |
19K01583
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研究機関 | 新潟経営大学 |
研究代表者 |
姜 興起 新潟経営大学, 経営情報学部, 教授 (70254662)
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研究分担者 |
姚 峰 香川大学, 経済学部, 教授 (90284348)
野田 英雄 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 教授 (90347724)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 景気の予測分析 / 時系列の成分分解 / 株価変動の分析 / 景気動向指標の構築 / 日本の経済分析 / 新型コロナウイルス感染拡大の影響分析 / 国際間の関連分析 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、主に次の研究課題に取り込んだ。(1)新しい景気動向指数の作成法を提案した。当該の景気動向指数の構築に際しては、景気の一致指標を長期変動や循環変動などの成分に分解し、主成分分析を用いて各指標における循環変動の共変動を抽出する。また、モデル推定における困難に対処するため、モデルの尤度と景気動向指数の分散を指標とみなし、階層的最適化に基づくパラメータ推定の方法を提案した。(2)景気変動メカニズム分析の先行研究として、時系列の長期変動と循環変動の分解方法を提案した。状態空間モデルをベースとした最尤法では、景気変動のサイクルに近い循環変動は長期変動から完全に分離できない 問題が残る。そこで、広い標本間隔の上でモデリングする超トレンド法を提案した。(3)One-Way因果性測度に基づいて、新型コロナウイルスの感染拡大による日中証券市場の関連性を分析した。 主要な結果は次のとおりである。(1)1975.1年~2019.12年の月次データを用いて新規構築の景気動向指数のパフォーマンスを確認した。例えば、GDPを参考指標とみなせば、現行の一致CIと比較して新規構築の景気動向指数はGDPにおける循環変動との間に強い相関がみられる。(2)提案法を日本の商業販売額の20系列及び、景気動向分析に使用されている30系列の成分分解に適用し、その高いパフォーマンスを確認した。本研究の結果により景気動向を分析するための一つの有望なツールを開発したといえる。(3)2019.1~2020.6の期間中における東京と上海及びシンセン証券取引所の代表的な総合指数の日次データを分析した結果、日中間の株式市場は基本的に均衡関係を保っており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い日中間の株価変動の関連性が弱まっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
景気変動メカニズムを解析するためのモデル構築と方法の開発がおおむね完成している。並行して、経済指標、証券、株価、観光者数や他国の経済情報などのビッグデータを活用した景気動向関連分析にも取り組んでいる。研究代表者と分担者は、共同で新規の研究成果を国際学術誌に投稿・掲載した。ただし、新型コロナウイルス感染拡大に関わる社会情勢により、研究成果の国内外の学会での発表が制限された。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響による研究成果の発表等の困難を補うために、本研究の計画を令和4年度に延長している。基本的に当初の研究計画に沿って研究を進めつつ、景気変動メカニズムの分析に重点を置いて取り組む。令和4年度は、景気変動のメカニズムを解明するための実証研究を深めながら、より広範囲に精緻な分析手法の構築に向けた研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度では、新型コロナウイルスの影響により国内外学会への参加に支障があったので、主に旅費の未使用分によって次年度使用額が生じた。また、論文の審査に予想よりも時間がかかり、論文投稿関係費用の一部分も次年度に繰り越されている。次年度の使用額の見込みは約1,600千円となる。使用計画として、研究代表者と分担者が研究打ち合わせのための旅費に300千円を計上し、国内外学会参加の旅費に700千円を計上し、論文投稿料や英文校正の代金を600千円と見積もっている。
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