研究課題/領域番号 |
19K01584
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 通雄 東北大学, 経済学研究科, 客員准教授 (40580717)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 雇用者被用者マッチデータ / 生産性分析 / 労働市場分析 |
研究実績の概要 |
2021年度は昨年度に引き続き、工業統計調査と賃金構造基本統計調査の接続による雇用者被用者マッチデータの構築を行った。具体的には、工業統計調査個票パネル化、賃金構造基本統計調査個票パネル化、工業統計調査と賃金構造基本統計調査個票の接続の方針で作業を行った。工業統計調査個票パネル化においては、2011年、2015年のデータが経済センサス活動調査で収集されたため、工業統計調査と経済センサス活動調査の接続も必要となる。それぞれの調査における事業所IDの対応表を提供していただいたが、母集団名簿が異なるためか、他の年と比べて接続できた事業所数が大きく減少することが分かった。この問題に対処するため、郵便番号、電話番号、企業名、住所等、敷地面積等の情報を用いて両調査に収録される事業所の追加的な接続を試みたが、その数はそれほど大きくなく、依然として課題として残っている。 賃金構造基本統計調査は平成26年まで事業所・企業統計調査、経済センサスの母集団名簿から抽出されてきたので、母集団調査個票をパネル化することにより、対応する賃金構造基本統計調査の事業所個票もパネル化することができる。さらに、2014年賃金構造基本統計調査の母集団名簿は2011年データ収録の経済センサス活動調査なので、それを軸に2014年賃金構造基本統計調査と工業統計調査個票を接続することができる。他の年については、それぞれの個票の名簿情報を用いて追加的な接続を行った。結果として、2014年については、賃金構造基本統計調査に収録される接続対象の事業所(製造業、従業員30人以上)の79.1%が工業統計調査と接続できた。さらに、賃金構造基本統計調査で提供される抽出率を用いることにより、マッチデータにおける事業所出荷高などの変数の平均が対応する工業統計調査(全数調査)の平均とほぼ等しくなることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、作業はやや遅れている。さらに、異なる調査個票の接続において、提供された事業所IDの対応表だけでは不十分な点があり、名簿情報による接続の精査に予想より多くの時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、初版の雇用者被用者マッチデータの構築が完了し、記述統計等の確認を行っている。2022年度は、マッチデータにおける豊富な従業者属性情報を用いて、事業所TFP推定の精緻化やTFP決定要因などの生産性分析における研究課題に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、海外の研究協力者との打ち合わせや学会報告等の出張ができなかったため。次年度の出張経費とデータ分析用PCの更新経費に使用予定である。
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