前年度にわが国47都道府県の鉱工業生産指数を用いた同期解析結果を論文にまとめて雑誌に投稿したところ、経済の実証分析において馴染みのほとんどない手法を用いた内容であったため、「たまたま得られた結果であり、普遍性がないのでは」というレフリーからのコメントがあった。このコメントに対処すべく、米国50州の月次景気指標(CIデータ、1979年4月-20214月)を用いて同じ手法により分析を行ったところ、わが国に関する分析と同じ結果を得ることができた。すなわち、Rosenblum らの同期指標はNBER公表の景気基準日付にほぼ即した挙動を示すこと、景気後退期には同期の程度が強くなり、景気回復期には同期の程度が弱くなることが示された。これらの分析により、われわれが採用した、Fourierバンドパスフィルター、Hilbert 変換、Rosenblum らの同期指標を用いる分析方法の有効性が日本と米国において確認することができた。これらをまとめて論文を大幅に改訂し、現在投稿中である。
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