研究課題
このプロジェクトでは、大きく3つのテーマについて研究に取り組んでいる。すなわち、①ネットワーク型確率的ボラティリティ変動モデル、②高次元の実現共分散モデルのための主成分分析の拡張、③標準化変換されたBEKKモデルの擬似最尤推定量の漸近正規性である。2020年度までに①について3編、②について2編、③について1編の論文が査読付きの国際的な学術誌で刊行され、一定の成果をあげることができた。2021年度は、これまでの研究成果をさらなる発展に取り組んだ。まず③について、標準化変換から線形変換への拡張および構造方程式を組み組んだモデルへの拡張に取り組んだ。前者について、疑似最尤推定量の漸近正規性を示すことができた。後者は、前者のアイデアを構造方程式に拡張したものなので、実習分析をメインとした論文としてまとめた。さらに、これらの成果を活用して、パネルデータのモデルの誤差項の分散がGARCH(一般化条件付き不均一分散)過程に従うようなPanel GARCHモデルについて、定常性のための十分条件を示し、疑似最尤推定楼の漸近正規性を示すことができた。次に②について、前年度の成果を活かして、実現共分散行列のモデルの正定符号を保証するために、行列指数関数を使った、新たな多変量確率的ボラティリティ変動モデルを考案した。このモデルを使って実証分析を行い、論文にまとめた。また多変量確率的ボラティリティ変動モデルについて、高次元データの場合の新たな推定方法を考案し、その推定量の性質(SparsityとSupport Recovery)を示し、実証分析を行った。今年度の成果を5編の論文としてまとめたが、いずれも査読付きの国際的な学術誌に採択された。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Time Series Analysis
巻: - ページ: -
10.1111/jtsa.12647
Journal of Econometrics
巻: 227 ページ: 285~304
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Econometrics and Statistics
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Journal of Time Series Econometrics
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Communications in Statistics: Case Studies, Data Analysis and Applications
10.1080/23737484.2021.2017807