研究期間の最終年度にあたる令和4年度には、本研究の成果を十分に公開することができたと考える。具体的な研究成果は、計量経済学・統計学の主要英文査読誌への刊行論文4本及び論文の学会発表2回である。論文4本の内訳は、①最近傍法によらないセミパラメトリック2段階2標本推定に関するもの、②非対称カーネル関数の一様収束速度の導出に関するもの、③高次元データから代理変数を生成する際の「次元の呪い」の問題を解決するための一方策としてスパースモデリングを用いてサンプルセレクションモデルを推定する手法に関するもの、④カーネル法を中心とする長期共分散行列推定に関するサーベイである。①②③はいずれも国際共著で、④のみ単著である。加えて、非対称カーネル関数を用いたノンパラメトリック推定理論・保険等への応用に関する国際共著論文2本が英文査読誌で審査中である。 一方、本年度の論文発表2回はいずれも国内の学会で、国際学会での論文発表は行っていない。ただし、研究代表者は令和4年6月に所属研究機関でハイブリッド形式で開催された国際学会5th International Conference on Econometrics and Statistics (EcoSta 2022)の大会実行委員長・現地責任者を務めた。本学会は計量経済学・統計学・データサイエンス各分野の研究者が一堂に会して最新の研究成果の発表・聴講・意見交換をすることを目的とする世界屈指の規模のものであり、その運営に携わることにより学会発表とは違った貢献をできたと考える。
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