研究課題/領域番号 |
19K01602
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
山内 慎子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (50583374)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Health facilities / Medical facilities / Access / Health / Uganda |
研究実績の概要 |
本研究は医療制度構築、特に医療インフラの整備がどう医療サービス需要や健康状態に影響するかを特に医療サービス利用率が著しく低い途上国において分析し、より効率的な医療制度改革のための政策的インプリケーションを導くことを目指す。新生児・妊婦死亡率は低所得国においては未だに高く、これを下げるには医療サービス利用を増やすことが重要であるが、途上国における利用率は未だに低い。この理由の一つは医療機関へのアクセスの悪さにあるが、医療インフラの整備がどれほど医療サービス需要を増やすか、健康を改善するかについての詳細な分析は存在しない。通常途上国では長期のパネルデータは稀であるが、本研究では長期(約20年)にわたるパネルデータを用いて、医療機関への距離が縮まった地域において医療サービス需要や健康状態が改善したか検証する。
令和元年には様々な分析の基礎となる登録済み医療機関のデータの収集にあたった。既に入手済みであった2002-2012年に加えるため2013年度以降のデータについてウガンダMinistry of Healthの現在の担当者にメールや手紙による連絡を行った。その結果、2013年からministry において医療機関のデータベースが使い始められたこと、そのため以前のようなエクセルベースのデータは入手しにくいが、データベースから抽出できるはずであることが分かった。しかしながら、担当者が多忙であることとデータベースが複雑であるためメールベースでは必要なデータを抽出してもらうことが難しかった。そこで、9月と3月に二度直接Ministryを訪問し、データベースへのアクセス権を頂き、抽出方法についても教授していただいた。現在それに沿った抽出データに問題が残っているため、その点について担当者と連絡中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療機関のデータ保管方法が現地の省庁において変わってしまったため、データ収集の期間と労力が想定していたよりも多くなった。ただ、担当者は多忙なものの研究に対して協力的であるため、引き続きコミュニケーションを通して必要なデータを収集していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は担当者との協議を重ねて一貫した2013-2019年のデータを抽出することを目指す。そしてそれをもとに、2002-2019年の医療機関のマッチングを試みる。また医療機関と世帯調査によって得られた家計の位置との距離を測る作業についても引き続き進める。この距離は医療機関の規模ごとに測る必要があるため、こうした作業についてGISの詳細な使用方法の学習を進める。最後に世帯調査に保存されているサービス利用、健康状態、サービス利用のために使用した交通機関に関するデータのクリーニングを行い、医療機関への距離が変化した際にどう変わるか推計する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は2013-2019年のデータを取得し様々なデータ加工作業をリサーチアシスタントにやってもらう予定であった。しかしウガンダMinistry of Healthのデータ担当者との協議を重ねたが、データの保存方法が変わってしまったため想定していたデータが手に入らず、予定していたデータ加工作業にも取り掛かれなかった。このため、加工作業で雇用予定であったリサーチアシスタント費用は来年度に使用する予定となった。
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