研究課題
本研究課題「環境規制と企業の環境技術開発に関する経済理論研究」は、環境経済学における2つのプロジェクトから構成されていた。以前の報告書にも記載したが、そのうち1つのプロジェクトは研究を進めるにつれて、既存研究からの新規性に乏しいことが判明したため、プロジェクト開始後に研究の軌道修正を行った。具体的には、我々は企業に環境保全活動を実行させることを重視する株主 "environmental activist" に分析の焦点を当てて、企業の環境投資・環境技術開発を分析した。この研究において、株式市場を通じて、創業時はたとえ同質的であったとしても、自己の利潤のみではなく環境保全を重視する環境CSR企業と、利潤のみを重視する非環境CSR企業に、企業が内生的に分岐するメカニズムを明らかにした。このメカニズムはかなり頑健であり、企業が環境CSR活動から利潤を得る場合や、設立する企業間に異質性が存在する場合も、同様の結果を導いた。この軌道修正を行った研究は本科研の期間内に大いに進捗し、研究成果を論文、Y. Tomoda and Y. Ouchida "Endogenous bifurcation into environmental CSR and non-environmental CSR firms by activist shareholders" にまとめた。この論文は、環境経済学のトップジャーナルである Journal of Environmental Economics and Management に掲載された。これが2023年度の最大の研究実績である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Environmental Economics and Management
巻: 122 ページ: 102883~102883
10.1016/j.jeem.2023.102883