研究課題/領域番号 |
19K01609
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
倉田 洋 東北学院大学, 経済学部, 教授 (60411245)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 企業立地 / 費用格差 / 経済厚生 / アグリツーリズム / 経済政策 |
研究実績の概要 |
1.費用が異なる2地域への企業立地の効率性 非貿易財産業における、地域固有の費用が異なる2地域への企業立地の経済的効率性について確認した。本研究は、差別化のある場合の分析のベンチマークとなるものである。寡占の非貿易財産業において、生産に関わる限界費用が異なるケース、立地に関わる固定費用が異なるケース、両方の費用が異なるケースの3つについて、経済厚生を最大にするという意味で効率的か、そうでなければ過剰か過少かについて確認した。分析の結果、限界費用・固定費用がともに高い地域に企業が過剰に立地する可能性があることが示された。本研究成果は海外査読誌に掲載された。
2. アグリツーリズムの経済効果 差別化の一つの方法として、途上国におけるアグリツーリズムに焦点をあて、その経済的影響について明らかにした。一定の失業率を持つ製造業のある都市部と、農業とアグリツーリズムの両方の部門がある農村部の2つの地域のある経済に焦点を当て、途上国の経済政策とアグリツーリズム部門における変化が、経済にどのような効果を与えるかを検討した。労働力の流出を促すことは合理的であるが、都市部の最低賃金の低下や外国資本の追加投資の効果は明らかではないことを示した。また、アグリツーリズム部門において農産物と観光サービスの比率を高めることで、国内の厚生を改善し、都市部の失業率を低下させることができること、農業財集約型観光や環境に配慮したアグリツーリズムは、福祉や雇用にプラスの効果をもたらすことを示した。本研究成果は、海外査読誌に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
差別化に関連する研究が、査読付き海外学術誌に掲載された。現在、差別化に向けた投資、協調に向けた投資に関する理論分析を進めており、投稿に向けて研究成果の作成が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施した研究成果の海外学術誌への投稿を行う。また、関連したテーマについて、さらに研究を進める。研究成果を作成し、国内外の学会・研究会で報告を行う。関連する研究分野の専門家からの評価・アドバイスを受け、必要な修正を行ったうえ、研究成果の投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、国内外の学会が中止ないしはオンラインとなり、予定されていた使用が不可能となった。残額は、2021年度と併せ、シミュレーション分析・実証分析に必要なPC及び解析ソフトウェア、研究成果の英文校正のために使用する予定である。
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