研究実績の概要 |
本年度は特に、地域労働市場において、病院など雇用側からの買い手独占が存在するか否かをアメリカにおける看護師のデータを用いて、テストした。これまでと同様に、アメリカナースの地域労働市場が、州境界において部分的に分断される可能性に注目すると共に、様々な地域特性の影響をコントロールすることに注力した。州境界周辺地域において、州が異なっても、移動制限などは存在せず、個人の賃金に影響を与える可能性のある特性も共通していると考えられるが、通常、地域特性の影響をコントロールすると、同じ地域の変数に関してはその効果が地域固定効果に吸収されてしまうが、アメリカナース市場において、州境界周辺では、労働市場が分断されてしまうが、賃金に影響を与える他の要素は共通である可能性を利用して、分析を行った。分析方法はBlack(1999)も参考にした。分析結果は、現在のところ、一貫しておらず、更なる精査を進めている。 また、本年度度は、関連する過去の参考文献を精査し、我々と同じく地域労働市場における買い手独占の影響を研究するために賃金を被説明変数とする研究の存在と共に、雇用者数を被説明数とする研究も多くあることに注目し、Amerian Hospital Associationの病院データを購入し、現在データを分析用に編集しているところである。 Black, Sandra E. "Do Better Schools Matter? Parental Valuation of Elementary Education," The Quarterly Journal of Economics, Vol. 114, No. 2 (May, 1999), pp. 577-599
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