研究課題/領域番号 |
19K01615
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
二階堂 有子 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20396899)
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研究分担者 |
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30633474)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Female entrepreneurship / インフォーマル部門 / 女性のエンパワメント / 中小零細企業 / インド / カースト / 経済実験 |
研究実績の概要 |
経済自由化以降、インドは高い経済成長率を記録しているが、労働法や社会保障の適用外にあるインフォーマル部門は大きいままである。特に、小規模企業数は2000-01年度の約1700万企業から2015-16年度の約1960万企業へ増加した。特筆すべきは、この部門の拡大をもたらしているのは女性の経営する企業の急増にあり、女性が経営する企業(一人会社)は、同じ期間に440万企業から880万企業に倍増した。 近年、女性の経済エンパワメント促進の手段として女性の起業が注目され、国際機関やNGO、途上国政府が様々な訓練・支援政策を実施しているが、インドの実態はまだ十分に研究されていない。また先行研究によれば、女性企業家向けの訓練・支援政策は企業パフォーマンスの向上を必ずしももたらしていない。 本研究の目的は、インドの小規模女性企業家の特徴や実態を(1)インド政府が公表しているサーベイデータを用いた実証分析と(2)南インドでのフィールド調査と経済実験の分析を通じて明らかにすることである。そして、女性といっても社会階層が複雑なインドにおいて、どのような訓練・支援政策がより機能するかを明らかにすることにある。 当該年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響から、フィールド調査が不可能であった。そのため、潜在的な起業家(大学生・大学院生の男女)を対象に行った、競争選好を測る経済実験のデータ・結果を改めて精査し、再分析を行った。その結果、南インドにおいて女性は競争的環境を避ける傾向にあること、女性の属するカーストにより競争選好に差があることがわかった。こうした結果は、女性だけの訓練やカーストベースの訓練が有効である可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大とロックダウン措置のため、インドでのフィールド調査が不可能になったため。 デリーの共同研究者も州をまたいで調査地への移動が難しかったほか、フィールド調査が実施できたとしても異常値がでてしまうため、フィールド調査は経済が正常化するまで延期することにした。
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今後の研究の推進方策 |
上述した経済実験の論文を完成させ、国内外の学会で発表し、国際ジャーナルに投稿する。 経済が正常化したタイミングでフィールド調査を実施できるように、デリー在住の共同研究者と綿密に連絡をとりあい、質問票の内容を確定させていく。調査地を訪問し、コロナウイルスの感染拡大・ロックダウンの影響を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本政府の水際対策強化のため、海外渡航が困難だったため。また、学会等がオンライン開催となり、次年度使用額が生じた。 政府の政策を鑑みながら、海外出張を再開する。フィールド調査の実施タイミングを見極め、現地での調査協力者の雇用なども含め準備を行いたい。
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備考 |
2022年3月28日、神戸大学・兼松セミナーにおいて、研究代表者二階堂と分担者田中は下記のタイトルで発表を行った。 "Female Entrepreneurship, Caste and Competitiveness in South India" (https://www.rieb.kobe-u.ac.jp/seminar/seminar_all/2021/202203281500.html)
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