研究課題/領域番号 |
19K01617
|
研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
福井 清一 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (90134197)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 小口医療保険 / 離散選択モデル / 途上国の貧困緩和 |
研究実績の概要 |
当初、前年度までの研究成果を踏まえ、ミャンマーを対象に、小口保険制度に関するフィールド調査を実施する予定で立ったが、コロナ禍の影響で渡航が困難となり実施を断念せざるを得なかった。 したがって、当該年度における研究活動としては、2019年度においてカンボジア農村で実施した小口医療保険制度に関する調査で得られた情報とデータを用いて分析を行うことに留まった。 カンボジアでは、シェムリアープ州アンコールチュム郡の12カ村の257世帯を対象に、代替的な医療保険制度に関するアンケート調査、家計調査、および、リスク、時間選好に関する実験ゲームを行い、そこで収集したデータを離散選択モデルにより分析し、被験者の保険スキームに対する支払い意思額を推計し、それと、各被験者の個人特性との関係を計量経済学的な手法により分析した。 その結果、既存の医療保険スキームには含まれていないサービス(慢性的疾病の治療、歯科・眼科の外科治療)や医療機関(民間の開業医)を含めた医療保険を提案することにより、被験者の購買意欲が高まり、費用効率も良くなることが明らかとなった。 以上の成果の一部は、国際開発学会で報告し、他の一部は『大阪産業大学経済論集』に掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
すでに述べたように、コロナ禍の影響で、2020年度の現地調査を実施できなかったため、当初の計画より丸1年進捗が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度に予定していたミャンマーでの調査が、国軍のクーデターにより実施困難となったため、調査地をカンボジアに変更し、2019年度と同様の調査を2021年度に行い、パネル・データを作成し、コロナ禍が小口医療保険への評価にどのような変化を及ぼしたかについて分析しようと考えている。 そのために、以下のような調査研究を行う予定である。 1.2019年度と同じ地域、同じ世帯を対象に、家計調査とリスク・時間選好に関する実験 ゲームの実施を依頼し、被験者の個人特性に関するデータを収集する。2.離散選択実験の方法を用い、被験者の医療保険に対する支払い意思額を推計するためのアンケート調査を行う。3.1,2の調査で収集したデータと2019年度に収集したデータを統合しパネルデータを作成し、カンボジアでも首都のロックダウンにつながったコロナ禍が、人々の医療保険の評価に及ぼした影響について考察する。 以上のような調査研究が実施できるよう、現地カウンターパートと密接な打ち合わせを 行い準備を進めているところである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、2020年度に予定していた調査研究を実施することができなかったため。
|