研究課題/領域番号 |
19K01621
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
根本 洋一 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00823410)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域的通貨枠組み / サーベイランス / 通貨危機の予防 / 通貨危機の対処 / 新興市場国 / 資本フロー / AMRO(アセアン+3マクロ経済オフィス) |
研究実績の概要 |
令和元年度は、通貨危機の予防、対処に関する地域的枠組みの研究に関して、基礎的研究を行なった。 南カリフォルニア大学の研究者と90年代のアジアと日本における通貨危機についての政策検討状況の基礎資料収集に当たるとともに、シンガポールに所在するアセアン+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)における通貨危機予防と対処の枠組みに関する東アジア加盟国によるプロジェクトに参加した(費用は一橋大学とAMRO負担)。令和元年6月に大阪で開催されたG20首脳会議の関連行事であるシンクタンク20(T20)の報告書についても、研究成果の一部を用いて貢献した。 通貨危機防止のための枠組みにおいてサーベイランスの果たす役割については、ボストン大学パーディ国際問題研究所とともに、令和元年6月に京都大学においてセミナーを開催し、さらに令和2年3月にボストン大学で追加的セミナーの開催を準備していたところ、コロナウィルスの影響で延期となった。 データ面では、国際金融協会(Institute of International Finance)からの資金フローデータの購入の交渉中であるが、データの販売は民間金融機関に限られてきたとのことで、大学または研究者への販売については引き続き検討の状況が続いている。その間のデータは根本が所属する一橋大学と客員研究員を務める財務総合研究所よりブルームバーグ社のデータを入手することで対処している。 コロナウィルス発生後新興市場国からの資本流出が再発生しており、その状況については、AMROからのデータ提供やブルームバーグ社のデータにより概要の把握を開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているのは以下の3点である。 第一には、地域協力枠組みについてのサーベイランスに関して、令和2年3月にボストン大学で開催されるセミナーで発表を予定していたところ、コロナウィルスの影響で開催が延期されたことであり、 第二には、共同研究先のボストン大学、南カリフォルニア大学、シンガポール国立大学とも、コロナウィルスの影響が甚大で研究できる体制になっていないことであり、 第三には、IIFからのデータ契約が、金融機関以外の大学などへの販売の前例がないために、先方において引き続き検討されているためである。
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今後の研究の推進方策 |
1980年代のアジア通貨危機前後の日本及びアジアの政策当局者の姿勢に関しては、今年度または来年度に、Oxford Handbookの一部として出版することを予定している。 アセアン+3マクロ経済オフィス(AMRO)の地域金融取り決めのあり方についてのプロジェクトは、先方の準備が整い次第、作業を開始する。 アジア以外の地域の地域通貨取極めである欧州安定化メカニズム(ESM)とラテンアメリカ通貨基金(FLAR)については、コロナウィルスの感染が落ち着いた段階でヒアリングなどの調整を開始する。 データ面では、国際金融協会Institute of International Financeからの資金フローデータの購入の交渉中である。それに代わるデータは研究代表者が所属する一橋大学と客員研究員を務める財務総合研究所よりデータを入手することで対処している。 コロナウィルス発生後新興市場国からの資本流出が再発生しており、その状況については、AMROからのデータ提供やブル-ムバーグ社のデータにより概要を把握の上、これまでの研究方針を見直す必要があるかの材料とする(今のところ見直す必要は見つかっていない)。
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次年度使用額が生じた理由 |
ボストン大学で予定されていたセミナーがコロナウィルスのため延期になり、旅費を使用しなかったため。先方から現時点で延期時期に関する連絡は来ていない。
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