研究課題/領域番号 |
19K01621
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
根本 洋一 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00823410)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 地域的通貨枠組み / 経済サーベイランス / 通貨危機の予防 / CMIM(チェンマイ・イニシアティブのマルチ化) / 新興市場国 / 資本フロー / AMRO(アセアン+3マクロ経済調査オフィス) / 東アジアの国際経済ガバナンス |
研究実績の概要 |
令和4年度は、通貨危機の予防、対処に関する地域的枠組みについての基礎研究を引続き行った。 コロナのため出張を見合わせていた地域通貨枠組み担当機関については、令和4年8月に欧州安定化メカニズム(ESM)、令和5年2月にアセアン+3マクロ経済調査オフィス(AMRO)を訪問し、それぞれの機関設立の法的根拠、対外的発表文書の種類、時期を中心に聞き取りを行った。 AMROの通貨危機に関するプロジェクト(From Trauma to Triumph: Rising from the Ashes of the Asian Financial Crisis)においては、サーベイランス組織の立ち上げの章を分担し、令和4年5月に出版に至った。アジア通貨危機から 世界金融危機(リーマン・ショック)を経て、AMROの設立、国際機関化についてまとめた内容となっている。 通貨危機防止のための地域的枠組みにおいてサーベイランスの果たす役割については、ボストン大学バーディ国際問題研究所とともに研究を継続中であり、令和5年1月には一橋大学において執筆者間の打合せを対面で開催し、対外発表の段取りを討議した。 データ面では、AMROを通じての関連データの入手や一橋大学が契約するブルームバーグなどからのデータで対応した。新型コロナウィルス感染症発生直後から、新興市場国からの資本流出と資 本流入が繰り返されており、その状況について上のデータなどを用い現状の把握と研究成果の更新に努めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているのは次の2点である。 第一にアジア以外のうち、ラテンアメリカ通貨基金(FLAR)については新型コロナウィルス感染症拡大の影響で日程調整ができなかった。 第二に地域通貨枠組みにおけるサーベイランスの役割について、ボストン大学またはASEAN+3の会議におけるカンファレンスでの発表を予定していたところ、新型コロナ・ウィルス感染症拡大の影響で開催に至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
アジア、欧州、ラテンアメリカにおける地域的金融取極め主体のうち、ヒアリングが完了していないFLARについて現地ヒアリングの日程調整を進めることに加え、コロナの下で連携が重要となってきている国際的な通貨枠組みである国際通貨基金(IMF)からもヒアリングを進めたい。 並行的にボストン大学とのプロジェクトについても上のヒアリングと日程が調整できれば発表の機会を調整したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ラテンアメリカ通貨基金(FLAR)を訪問しての調査研究が新型コロナウィルス感染症拡大のため実施できず、ボストン大学で予定されていたセミナーも開催が延期されているため。 安全が確認された段階で、FLAR、ボストン大学への出張経費として使用することを計画している。
|