研究課題
応用一般均衡モデルを用いるなどして、国際貿易や農業生産性に関するマクロ・ミクロ経済分析を行った。1つは、アメリカによる鉄鋼・アルミ追加関税や、北米自由貿易協定の改定に伴う自動車関税といった北米における経済的分断が、北米3 カ国と日本の貿易、あるいは日本からの海外直接投資に与える影響について自動車産業を中心に分析したものである。そこでは、逐次動学応用一般均衡モデルを用いてシミュレーション分析した主要な結果は、以下の通りである。鉄鋼・アルミ追加関税は、アメリカとそれ以外の国双方にとって代替的な貿易相手国としての地位が高まることで、カナダとメキシコに利益をもたらす。しかし、自動車関税はその利益の大半を失わせる。日本からの海外直接投資は、これら2カ国向けが急速に減少する。北米の経済的分断が進むほど、自動車生産は日本国内に回帰するが、巻き添えになる形で経済厚生上の不利益を被る。日米間の自動車関税撤廃を行うことで、この不利益を解消することができることなどが明らかにされた。この論文は、GRIPS Discussion Paperとして日本語と英語で公刊された。また、この論文の内容をThe 23rd Annual Conference on Global Economic Analysisでオンライン報告した。また、農家の多様性がある中で、日本の農業・食品産業の生き残りについて分析した論文も、査読の結果、Japan and the World Economy誌で公刊された。
2: おおむね順調に進展している
海外直接投資を含んだ応用一般均衡モデルを、多国間の海外直接投資を含むように拡張し、それを使って当初考えていたような分析を行うことができたため。
コロナの問題で今年度も出張ができないなど、若干の問題は発生したものの、これまで公刊してきた応用一般均衡モデルを用いたマクロ分析に加えて、農業生産性自体を分析したミクロ統計分析論文を完成させることで、ミクロ・マクロの整合性の取れた分析を完成させる。
コロナの問題で、今年度も出張を伴うような研究打ち合わせを十分に行うことができなかった。代わりにオンラインで打ち合わせを行うなど、代替的な方法で遂行したが、来年度は最終年ということもあり、出張など十全の活動を行って研究の完成を図りたい。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Japan and the World Economy
巻: 58 ページ: 101070~101070
10.1016/j.japwor.2021.101070
巻: 55 ページ: 101028~101028
10.1016/j.japwor.2020.101028
GRIPS Discussion Paper
巻: 20-02 ページ: -
10.24545/00001756
巻: 20-03 ページ: -
10.24545/00001757