研究課題/領域番号 |
19K01626
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
関 絵里香 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (40611695)
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研究分担者 |
竹内 あい 立命館大学, 経済学部, 准教授 (10453979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 河川流域環境管理 / 経済実験 / Collective action / Ambiguity / Waste disposal / Flood hazard |
研究実績の概要 |
2020年度はオンライン実験のデザインと実施を行った。オンライン実験に当たり大阪大学社会経済研究所(ISER)の花木伸行教授の協力を 得、ISERの経済実験ラボの登録システムを用いて行った。具体的には公共財自発的供給ゲームを応用し投棄廃棄物によって生じる環境災害の確率に関する情報を、確率に関する情報と確率 分布に関する情報に分けて統制した。基本情報(廃棄物を投棄せず処理することによって生じる単価、災害が起こった場合の損失、災 害確率は滞留廃棄物の総量に応じて増加すること、滞留廃棄物の総量が0であれば災害は起こらないこと、災害が必至になる閾値、及びすでに滞留している投棄廃棄物量)のみを提示する【基本情報処理】、基本情報、及び限界確率が増加する確率分布を滞留廃棄物と災害確率の関連表を用い て提示する【危険情報処理】、基本情報、及び限界確率が増加する確率分布を滞留廃棄物と災害確率の関連表を用い て提示する【確率分布情報処理】を行った。 他方、フィリピンの事例研究地域ではオンライン調査を行うためのアプリケーションを開発する準備調査と地域住民参画型 の投棄ゴミ実態調査を行うためのフィージビリティスタディを始めた。既存の文献調査から動植物多様性保全を目的とした住民参画型のCitizen Scienceの手法は開発途上国でも応用されつつあるがごみ問題など環境問題で事例が稀有だということ、既存の投棄ゴミの現状は把握されていないことが解った。既存の(主に先進国での)河川流域での漂流ゴミや過剰に増殖した植物を捕獲するシステムの文献調査をもとに現地住民によるごみ処理や漂流ゴミのモニタリングや計測に適した構造を抽出した。現地調査が可能になり次第、地域住民とデイスカッションを行い、具体的な構造や管理の仕組み、費用対効果を含めたフィージビリティスタディを進める準備をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン経済実験では必要な参加者数の4分の3程度の実施にとどまったため2021年度に足りない分を行う。地域住民参画型の投棄ゴミ実態調査を行うためのフィージビリティスタディについてはフィリピン国内のコロナ感染対策のため現地での情報収集ができず仮想のパラメータを用いた。現地の状況が改善次第見込み実際の測量や目測に基づいた現実的なデータを集める見込み。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はオンライン実験結果の暫定分析を行い理論分析モデルとその妥当性を精査する。必要に応じて補足実験を行うほか不確実性理論に精通した研究者の助言・協力を仰ぐ。現地でのオンライン調査のアプリケーションを完成し試行調査、実施可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンライン実験を行ったため実験補助者を雇用しなかったこと及び、必要な参加者が完全に集まらなかったため。来年度の継続実験を行うために使用予定である。
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