研究課題/領域番号 |
19K01630
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
上園 昌武 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (00314609)
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研究分担者 |
氏川 恵次 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (90361873)
近江 貴治 中村学園大学, 流通科学部, 准教授 (50613832)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環境経済 / 環境政策 / 地域経済 / エネルギー政策 / 再生可能エネルギー / 省エネ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第1に、「脱炭素社会」の構築に向けて地域協働型エネルギー事業の効果と支援政策の制度的特徴を理論的に整理し、第2に、ドイツとオーストリアの再エネ・省エネ事業の先進事例の諸要素を抽出して経済波及効果を定量的に明らかにし、第3に、エネルギー自立地域政策のあり方を提示することである。 今年度は、まずドイツやオーストリア、EUの気候政策やエネルギー政策に関する資料や文献を収集・整理した。次に、現地調査を通じて再エネ・省エネ政策に関する制度的分析と環境政策統合の実態把握を試みた。エネルギー自立地域づくりは、中間支援組織によるエネルギーガバナンスが重層的に機能することが重要であり、今年度は金融機関の取り組みに着目して調査した。オーストリアのライファイゼン・インターナショナル銀行はSDGsを主要な事業方針と位置づけて積極的に取り組んでおり、融資や投資でのサポート、金融機関と自治体との協働事業の実態についてヒアリング調査を行った。また、再生可能エネルギーの普及事業による地域経済効果分析の研究について情報を入手しており、次年度以降の地域経済効果分析の研究手法開発につなげることができた。 今年度の研究成果として、研究代表者と分担者はぞれぞれが学術論文の執筆や学会での報告発表を行い、一定の学術的な貢献を果たすことができた。研究代表者は、今年度の調査を踏まえて、エネルギー自立地域づくりと地域金融の役割に関する論文を執筆し学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は初年度であり、研究目的を達成するための準備作業を中心に取り組んだ。研究実績として、文献サーベイにより先行研究の到達点を踏まえて理論的特徴を整理しつつ、これまで多岐にわたる政策を提示してきたドイツやオーストリア、EUの気候政策やエネルギー政策に関する資料や文献を収集・整理した。また、ドイツやオーストリアで実施されているエネルギー自立地域づくりに関して、政策のPDCAに着目しながら、効果的な政策となるための諸要因について、現地調査で確認することができた。さらにこれらの研究活動の成果として、学術論文や学会報告としてまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、エネルギー自立地域戦略の政策分析に重点を置いて研究を推進していく。具体的には、再エネ事業と省エネ事業による地域経済効果を把握するための調査を行う。また、とくにオーストリアのエネルギーガバナンスとエネルギー自立地域戦略の実態や特徴を把握することを目指す。 現場での政策や事業の実態を把握するために、自治体や行政機関、事業者、研究機関の関係者などを対象としたヒアリング調査を行う。対象事例は、再エネ・省エネ事業の多様な種別や形態を揃え、条件不利地域や都市と農山村との広域地域連携自治体という視点からも選ぶ。また、大学・研究所の研究者とは、政策研究の到達状況や方法論などについても研究交流を行う。 研究成果は、国内外の学会や研究会で学術報告し、学術誌などに研究論文として投稿・発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が予定よりも支出が少なかったため。
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