研究実績の概要 |
本年度はまず, 5月に日本経済学会において研究成果の一つである''Optimal paid parental leave policy"を報告し, 討論者である京都大学の安井大真准教授より有益なコメントをいただいた。それをもとに改訂を加え, 国際学術誌への投稿を行った。まだ採択はされていないが, 採択に向けてさらなる改訂を行っている. また, 新しい研究成果として国立台湾大学のHung-Ju Chen教授との共同研究を行い, ''Pay-as-you-go social security and educational subsidy in an overlapping generations model with endogenous fertility and endogenous retirement"として成果をまとめた. この研究では, 家計の出生行動に影響を与えると考えられている賦課方式の年金制度と教育費への補助金の出生率への影響を世代重複モデルを用いて理論的に考察している. これは日本が全世代型の社会保障制度を採用していることを反映しており, それが果たして出生率にプラスの効果を与えることができるのか, もしプラスの効果を与えるのに条件が必要ならば, どのような条件が必要なのかという点を明らかにしている. そういう点でこの研究成果は日本の社会保障制度が出生率にプラスの効果をもたらすことができるのかどうか検討している. この論文も現在, 国際学術誌への採択を目標に改訂中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2本の研究成果が現在出ている点は順調だと言える. 国際学術誌に採択されるところまで行きたいと考えている. ただし, より現実を踏まえたモデルの構築ならびに分析が難航している. 理由の一つとしては, 数値計算(プログラミング)に不慣れな点があり, その克服に時間がかかっていることがあげられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により, 計画時に予定していた学会や研究会への参加がなくなり, 旅費を消化することができなかったことが次年度使用額が生じた理由である. 本年度も状況は変わらないため, 旅費の分はどうしても残ってしまうと考えられる. その分, データ解析に必要なソフトウェアの購入や研究環境の整備に支出が必要になった場合, 有用に使用したいと考えている.
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