本研究では、異常気象や自然災害が人々の健康におよぼす影響を定量的に明らかにするために、3項目:(1)データベースの構築、(2)分析モデルの構築、(3)計量分析、を2019年度から現在にかけて順次実施してきた。2022年度(最終年度)は下記の通り、(イ)2021年度までの成果の更新・編集作業を行いつつ、(ロ)最終年度の目標のひとつとしていた海外共同研究者との対面交流を実現した。
(イ) 2021年度までの成果の更新・編集作業:2020-21年度に収集した新規データを用いた予備分析結果を学会において報告するとともに、論文にまとめて研究科紀要に掲載した。 (ロ)海外共同研究者との研究体制について改めて調整を行い、2022年度中に共同研究者との対面交流を実現させた。現在の研究課題に関する研究成果を整理しつつ、共同研究を今後さらに発展させるための基盤作りについて重点的に意見交換を行った。
本研究の全般的な成果は次の通りである。電力価格の高騰とそれに伴う回避行動レベルの低下(暖房器具などの使用抑制)を通じて、冬期の死亡リスクが上昇することを明らかにした分析結果は、当該分野の一流誌へ掲載された。この研究は海外の大手メディアからも取材を受けるなど、社会的反響も大きいものとなった。加えて、国内査読誌向けの研究展望論文や経済学関連雑誌への研究記事の寄稿、各種学会やワークショップでの報告など、アウトリーチ活動を積極的に行った。研究期間後半には、今後の研究につながる予備的分析や海外共同研究者との対面交流を行い、今後の国際共同研究体制を確立することができた。
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