研究課題/領域番号 |
19K01634
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
迫 一光 広島修道大学, 経済科学部, 准教授 (30547360)
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研究分担者 |
生川 雅紀 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30588489)
瀧本 太郎 九州大学, 経済学研究院, 教授 (70403996)
伊藤 健宏 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (40364418)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乗り換えモデル / 都道府県別パネルデータ |
研究実績の概要 |
本年度は、研究代表者が申請課題の検証を始める前に、日本の中小企業における出産・育児に関わる現状を最終調査し、その結果を推計の参考にすることにした。本研究課題は、1970年代から今日までの約50年間にわたる、コホート(5歳刻みの男女別の集団)別、都道府県別の疑似パネルデータを用いて出生水準の変動要因を明らかにし、それに基づき我が国の出生行動を捉える理論モデルの足掛かりを構築するものである。2010年前後から、社会保障における諸手当増額などが実施されたり、働き方の改革などが推進されてきたにもかかわらず、なお出生水準が上向かない現状を明らかにすることで、このような諸制度以上に賃金水準が重要であることの傍証を得ようとした。 そこで、アンケート調査に基づき、継続就業支援策が固まった2010年以降の継続就業に関しての現状と先行研究を紹介し,未だに,WLB導入が遅れがちな中小企業におけるWLB支援制度の在り方について明らかにすることにした。その結果、出産しやすさに寄与するであろうと思われる育児休暇を取得しない層が存在する事が明らかになった。そして、育児休暇を取得しない理由は、育児休業による収入低下により生計維持困難が生じるため,取得をあきらめているとのことであった。このことから、当初の乗り換えモデルの推計だけでなく、出産・育児に関わる社会保障制度全般を推計に盛り込むことの必要であることを明らかにした。 次年度以降の推計にこれらの成果を活かし、1970年代半ばから続く負の出生の要因を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルスの影響で年度後半は会合は出来なかったが、最低限の打ち合わせによって 仮説を検討した。我々の検討課題は以下の三点である。 ①実証モデルの成果から日本の出生行動に当てはまる経済理論モデルの足掛かりを作る ②長期時系列、コホート別分析により時代効果・世代効果・地域特有の効果を抽出 ③都道府県ごとに望ましい出生対策の提言が可能 上記、3点を検討する前に予備調査として、現状においてどのような出産・就業選択がなされているか明らかにすることにした。そこで、代表者が中心となり、アンケート調査を行うことで、出生支援策等も含めた推計を行わなければならない事を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
上述の研究によって本稿で明らかにしたことは,育児休業などの一時金の割合を上げても育児休業が思ったほど増加しないのは,現状での給与水準でも生活が困難であり,給与水準が下がる可能性の高い育児休業を選択する事が困難である可能性を示唆した事,および中小企業においても,最低限の人員で仕事を回すことが出来るのであれば,休業中にミーティングに参加するなどで,復帰後のキャリア見通しを立てやすくすることが重要である点であった。そこで、次年度は、時代効果・世代効果・地域特有効果などに加えて直近の育児支援などの影響を仮説に加えて分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、研究代表者の迫が共同研究者のところを年度末に訪問し、研究打ち合わせをする予定だったがコロナウイルスの影響で出張が行えなかったため残額が発生した。
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