研究課題/領域番号 |
19K01636
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
神野 真敏 関東学院大学, 経済学部, 講師 (10533648)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 年金積立金 / ポートフォリオの見直しの影響 / 人口動態 |
研究実績の概要 |
2014年10月末において年金積立金のポートフォリオの見直しがなされた。この見直しは、人口動態的にみてどのように考えられるだろうか、年金方式の違いやその見直しによって生じるリスクをどの世代が負担するかにも注目しつつ、この問いに学術的に答えるのが本研究の目的である。その中でも、国内と外国の差を、人口動態の差に注目して明らかにするものである。 日本は超高齢化社会を迎え、経済自体が高齢化の状態にある。このような状況は他の先進国でも見られ、先進国自体が高齢化を迎えているといえるだろう。その一方で、アジア・アフリカを中心とした途上国は、発展の途上にあり、かつ人口動態的にみても人口構成が若い状態にある。今回のポートフォリオの見直しは、海外といっても先進国を中心としている。しかし、本来の人口動態という視点において、海外といえるのは人口動態的に見て若い途上国であろう。そのような人口動態的にみて若い途上国に対して運用先を変更することが年金積立金の運用に対してどのような影響をもたらすのか、人口動態を考慮したうえでこの影響を理論的に、そして実証的に分析したいと考えている。 そこで本年度は、まずは資産のリスクを理論的に考慮できるようなモデルに拡張している状態にある。一方で、本研究の問題意識の基底でもあった年金制度の運用における方式の比較を考慮したうえでの労働人口の受け入れの影響についての分析も行った。分析した結果、保険料に対する報酬率を固定した方式の下で労働者を海外から受け入れた場合、受け入れ国にも足らず年金財政に対する純便益が必ずプラスになること、また数値例より、総労働者の20%を受け入れることで賦課方式から積立方式へ完全移行する原資を確保できることなどが研究成果として導かれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来は、①外国部門を導入すること、その上で②基金の部分に国内と外国の割合を設け、外国には、資本量は少ないものの若い労働世代が多いといった差を設けるなどの拡張まで行う予定であった。しかし、それには至らぬ結果となったのは残念である。 しかしながら、今回の研究に付随した研究によって、上記のような、年金制度の方式の比較を主とした分析結果、保険料に対する報酬率を固定した方式の下で労働者を海外から受け入れた場合、年金財政に対する純便益が必ずプラスになること、また数値例より、総労働者の20%を受け入れることで賦課方式から積立方式へ完全移行する原資を確保できることなど、研究成果がいくつかあげられたため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降において、引き続き、①外国部門を導入すること、その上で②基金の部分に国内と外国の割合を設け、外国には、資本量は少ないものの若い労働世代が多いといった差を設けるなどの拡張まで行う予定である。その上で、人口動態を考慮したうえで「老いている国」日本から「若い国」アジアへ積立金の運用先の変更による影響を分析していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降において国際学会にエントリーするため
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