研究課題/領域番号 |
19K01636
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
神野 真敏 南山大学, 経済学部, 准教授 (10533648)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 年金積立金 / 人口動態 / 年金財政 |
研究実績の概要 |
本研究は、投資先としての人口動態の差、「老いている国」と「若い国」の違いに注目しつつ、年金積立金のポートフォリオの見直しが年金の持続可能性・リスクの世代負担にどのような影響をもたらしたかを明らかにすることにある。その際、本多(2012)の研究をもとに、人口動態を考慮できるモデルを構築し、2014年以降に実施されている年金積立金のポートフォリオの見直しによる影響を分析することを主な研究方法と考えていた。 そのため、本多(2012)の研究を詳細に見直し、その研究成果を再現することにした。その上で、人口動態を考慮したモデルの構築に努めている。さらに、債券のディフォルトの可能性も考慮しなければならないため、財務諸表を用いたディフォルト確率の推計、構造モデルや誘導モデルなどへ人口動態を活用できないか、その可能性について探ることに努めた。ただ、これらの研究は、可能性を探ることに終始したため、まだ十分な成果を得られていない。 その一方で、年金積立金の運用と関連がある、海外からの人の受け入れによる年金財政の改善の可能性、それに至るまでの移民者を受け入れることによる追加的な負担の可能性を考慮したモデルは構築することができた。この研究成果は、今回の研究の副産物であり、International Review of Economicsにて採用された。 今後は、副産物である研究成果に年金制度を導入し、その上で、今回の研究課題の主な目的である、年金積立金のポートフォリオの見直しにおける人口動態の差、これがどのように積立金に影響を与えるのかについて、モデルを構築したうえで、その影響をシミュレーションしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本多(2012)の研究を詳細に見直し、その研究成果を再現した。その上で、債券のディフォルトの可能性も考慮しなければならないため、財務諸表を用いたディフォルト確率の推計、構造モデルや誘導モデルなどへ人口動態を活用できないか、その可能性について探ることに努めた。しかし、これらの研究は、現状の確認と、今後の研究の可能性を探っただけにすぎず、十分な研究成果とは言えない。このような可能性を探ることにしたため、進捗状況としては、遅れてしまっているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本多(2012)の研究に、人口動態を考慮した上での年金積立金のポートフォリオの見直しの影響を含められるよう、さらには年金積立金の運用先のディフォルトの可能性も考慮できるよう、これまでの研究を深化させていきたい。ただ、これまでの研究では、その可能性を探るまでにとどまっているため、当初の研究方針を見直し、全く別の視点(労働の受け入れを考慮した年金制度の下での年金積立金のポートフォリオの見直し)を導入することも考えていかねばならない。 ただその一方で、年金積立金の運用と関連がある、海外からの人の受け入れによる年金財政の改善の可能性、それに至るまでの移民者を受け入れることによる追加的な負担の可能性を考慮したモデルは構築することができた。多少遠回りをしたような状況ではあるが、今回のモデルに、年金制度を導入し、その上で、その積立金の運用を扱うまで発展できれば、当初の目的と掲げていたテーマ(人口動態を考慮した上での年金積立金のポートフォリオの見直しの影響)以上の成果となると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で、海外での研究発表等が行えなかったため
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