研究実績の概要 |
研究の目的は、日本における資本熟練補完性仮説の検証を行うことであるが、初年度は、当該領域における研究の進展について、文献、先行研究の検討を行うとともに、本研究目的の伏線となった日本の労働市場に関する実証分析結果について学会報告を行った。 前者の文献、先行研究については、たとえば、RIETIで公開されている一連の研究成果を手掛かりに、資本概念の取扱いそのものに、Intangible Capital を考慮する、大きな変化が生じていることを確認した。後者については、以下の学会報告を行った。Keiji Hashimoto, “Youth Unemployment with Different Indicators and Economic Growth in Japan,”29th EBES Conference, Oct.11, 2019 Lisbon, Portugalおよび Keiji Hashimoto, “Female Labor with Higher Education and Economic Growth in Japan: Prefecture Panel Data Approach,” The IAFOR International Conference on Education, Hawaii Convention Center, Jan. 11, 2020. 前者では、失業率の定義が必ずしも実態をとらえきれていないのではないかとの問題意識から、失業と経済成長の関係を探るにあたって、特に若年層に注目しながら、従来の失業率とともに失業比率(失業者と生産年齢人口の比率)を算定し、いわゆるオーカン法則の推定を行った。また、後者では日本では、女性の労働市場参加率が学歴が高くなるにつれて低下していることに注目し、それと経済成長との関係を明らかにした。
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