本研究課題による研究成果の学術的・社会的意義として、(1)農家の経営規模拡大の前提条件となる農地貸借に関して、貸借のマッチング過程と取引条件の成立状況に注目し、経済理論に基づく定量的な検証を行った結果、経済発展の進展する沿海部の江蘇省では農地の貸出・借入条件を満たす農地貸借市場が成立していること、(2)農家の経営規模と生産性に関する伝統的な関係(逆相関仮説)について、確率的フロンティア生産関数に基づく定量分析を実施した結果、調査対象地域の穀物生産に関して最も生産効率性が高いのは中規模(2ha前後)の経営であることを実証することで、適切な規模での農地集約化の重要性を提起した点が挙げられる。
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