研究課題/領域番号 |
19K01644
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
黒川 義教 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (50338224)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 関税 / 為替レート / 輸出の外延 / 中国 / イギリス |
研究実績の概要 |
本研究は、輸出企業数で測った輸出の外延 (the extensive margin of exports) が関税と名目為替レート双方の変化に反応するのかという問いに実証的に答える。第1段階として中国のデータによる分析をまとめた論文を、令和元年度に査読付き海外ジャーナルであるReview of International Economicsに投稿し、同年度から令和2年度にかけてレフェリーのコメントに基づいて改訂し再提出する作業 (revise & resubmit) を2回行った結果、令和3年度に論文が受理された。 その後、第2段階としてイギリスのデータを用いた分析を行うことに決め、その研究計画を立てた。 中国のデータを用いた第1段階の主な付加価値は以下の通りである。 (1) 関税対為替レートに関する文献、特に、企業あるいは輸出企業の関税と為替レートに対する反応を実証分析した文献に貢献する。カナダのデータを用いたBaggs et al. (2009) とアイルランドのデータを用いたFitzgerald and Haller (2018) はともに、実質為替レートと先進国に焦点を当てたのに対して、本研究の第1段階は名目為替レートと途上国に焦点を当てた。 (2) 名目為替レートと輸出に関する文献にも貢献する。日本のデータを用いたDekle and Ryoo (2007) は名目為替レートが企業の輸出量へ与える影響を、中国のデータを用いたCorsetti et al. (2019) は輸出企業のマークアップへ与える影響を示したのに対して、本研究の第1段階は中国のデータを用いて輸出企業数で測った輸出の外延へ与える影響を示した。 (3) 本研究の第1段階は名目為替レートの輸出企業数への影響を大きくする要因として金融制約 (financial constraints) を示唆したことで、金融制約と貿易に関する文献にも貢献する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
第1段階として中国のデータによる分析をまとめた論文が、令和3年度中にジャーナルに受理されたが、編集長 (Editor) が受理すると判断するまで予想以上に時間がかかったため、イギリスのデータを用いた第2段階の開始が遅れ、研究計画を立てるに留まった。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、イギリスのデータを用いた第2段階を、令和3年度に立てた研究計画に沿って、進めて行く予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、国内及び外国での学会への出張を令和3年度に予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、国内学会も外国学会も中止かオンラインでの開催となり、国内及び外国旅費が未使用となった。 令和3年度の未使用額は、主に国内及び外国旅費として令和4年度に使用する予定である。
|