研究課題/領域番号 |
19K01653
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
後藤 潤 神戸大学, 経済学研究科, 講師 (30732432)
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研究分担者 |
松本 朋子 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 講師 (50783601)
山崎 潤一 神戸大学, 経済学研究科, 講師 (80800606)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国家建設 / 再選動機 / アイデンティティー形成 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は以下のとおりである。インドを対象に、独立直後の国家建設期において個別の地域間の利害対立を超えた「国益」意識や国家単位のアイデンティティーが政治家の間でどのように醸成されたのかを明らかにする。さらに、政策の実行に必要な行政能力(state capacity)向上のための投資に対して政治家がどのような態度を取っていたのかも検証する。具体的には、戦前日本と独立後インドに着目し、(i) 領土紛争・対外戦争といった対外脅威や出身地域や社会的身分など帰属意識の違いという社会的要因、(ii) 議員の任期の長短や選挙権の制限などに起因する政治家が直面するインセンティブ(再選動機)の違いという制度的要因の影響を定量化することをめざす。2021年度は2020年度に引き続き主たる計量分析に用いるデータセット構築のためのテキスト収集を行った。さらに、これまでに収集が完了した独立後インドの議会議事録のテキストを用いて暫定的な分析を行った。具体的には、ランダムに割り当てられた議員の任期の長短によって議会での発言パターンに違いがあるかを検証した。その結果、農業分野などへの言及に一定の構造的差異があることが認められた。ただし、分析対象期間が短いことからこれらのパターンについて、統計的有意水準を検出することはできなかった。そのため、分析期間を延長してテキストを再収集することにした。分析期間を延長することで、pooled OLS分析における観測数を増加させることができるだけでなく、これまでに焦点を当てていた期間よりも長期的な視野に立った分析を行うことができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍においてリサーチアシスタントの作業手順や作業環境の変更が強いられたため、インド政府のウェブサイトから議会議事録をスクレイピングしていく作業がやや遅れてしまった。現時点での分析結果を踏まえて分析期間を延長する必要性がでたため、2022年度はデータ収集を早急に完遂し、計量分析・論文執筆を行う。日本の帝国議会議事録作業はコロナウイルスとそれに伴う緊急事態宣言の影響でリサーチアシスタントを確保できずデータ構築作業が遅れてしまったため2022年度に集中的に作業する。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は独立直後のインド議会議事録のデータにもとづいて計量分析をすすめ論文を完成させる予定である。さらに、国内外でのオンラインもしくは対面式カンファレンスで研究報告する予定である。一方で日本の帝国議会議事録作業も開始し当該年度中に作業を終え、論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
インド議会議事録テキスト化におけるリサーチアシスタントの雇用がコロナウイルスの影響で一定期間停止されたため、次年度に期間を延長して持ち越して使用する必要が生じた。また日本帝国議会議事録のスクレイピングを行うためのリサーチアシスタントがコロナウイルスの影響で2021年度は確保できなかったため次年度に持ち越して使用する必要が生じた。
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