研究課題/領域番号 |
19K01662
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内藤 巧 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80314350)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 最適関税 |
研究実績の概要 |
本年度は,企業の異質性及び国の非対称性を考慮した経済成長モデルのうち,研究開発に基づくNaito (2017, JIE)に輸入関税と関税収入を導入し,動学的最適関税を特徴付けた. 論文``Can the optimal tariff be zero for a growing large country?''では,成長する大国にとって最適関税がゼロになる可能性を追求するため,Rivera-Batiz-Romerの実験室設備(lab-equipment)型内生的技術変化モデルに,国の非対称性,輸入関税,同質あるいは異質の企業を導入して拡張した.以下3つの主な結果を得た.第一に,各国の国内財からの収入割合はその国の長期的な成長率の十分統計量となるが,長期的な厚生の十分統計量とはならない.第二に,どの国の一方的関税引き下げも,均斉成長率を常に高める.第三に,ある緩い条件の下でゼロの関税は局所的に最適となり,その条件はゼロ関税下の対称的な均斉成長経路において自動的に満たされる. 本論文はEEA-ESEM 2019 (U Manchester), 2019 International Symposium on the Frontier of International Trade and Regional Science (Zhongnan U Economics and Law)で発表された後,TCER Working Paper E-146として公開され,本年度末時点である査読誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験室設備型内生的技術変化モデルにおいて,大国にとって最適関税がゼロになる可能性は十分あり得ることを示すことができた.これは,「大国にとって最適関税はゼロとなり得るか」という本研究課題の中心的な問いに対して,肯定的な結果を与えることを意味する.
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今後の研究の推進方策 |
資本蓄積に基づくNaito (2017, EL)に輸入関税と関税収入を導入し,動学的最適関税を特徴付ける.もしそのモデルでも最適関税がゼロとなり得ることを示すことができれば,経済成長を考慮することが新しい結果に本質的であると主張できることになる.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が40,000円弱と少ないので,無理に使い切る必要がなかった.次年度にコンピューター周りの消耗品を購入するのに使うことが予想される.
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