• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

大国にとって最適関税はゼロとなり得るか:動学的視点からの再考

研究課題

研究課題/領域番号 19K01662
研究機関早稲田大学

研究代表者

内藤 巧  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80314350)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード最適関税
研究実績の概要

本年度は,独占的競争と資本蓄積に基づく2国内生成長モデルにおいて,最適関税を特徴付ける研究を行った.
論文``Does a larger country set a higher optimal tariff with monopolistic competition and capital accumulation?''では,独占的競争と資本蓄積を伴う2国内生成長モデルにおいて,「ある国の最適関税が正となる」こと,及び「より生産性が高く,従ってより経済的に大きな国が,より低い最適関税をかける」ことを示した.まず,ある国の関税引き上げの限界純便益を,直接効果(正),課税標準効果(負),収益率効果(負),成長効果(負)に分解することに成功した.以上の分解に基づき,その限界純便益を関税率ゼロで評価すると,課税標準効果と収益率効果が消え,直接効果が成長効果を上回るので,最適関税が正となることを示せた.また,ある国の生産性の上昇は主に関税引き上げによる負の成長効果を増幅することを通じて限界純便益を低めるので,その国の最適関税を低める可能性を発見した.後者の仮説は,米国と世界をそれぞれ第1国,第2国とした現実のデータを本モデルの均衡とみなした上で,米国の生産性が仮想的に10%高まったときにモデル上の米国の最適関税が低まることによって支持された.最後に,以上の結果は,独占的競争企業の生産性が同質的か異質的かに関わらず成り立つことも確認できた.
本論文は,本年度末時点でEconomics Lettersに修正再投稿されている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題における1本目の論文``Can the optimal tariff be zero for a growing large country?''が,本年度中に経済学におけるトップ5に次ぐ一般誌の1つである International Economic Reviewに出版された.また,2本目の論文``Does a larger country set a higher optimal tariff with monopolistic competition and capital accumulation?''が,本年度末時点でEconomics Lettersに修正再投稿されている.

今後の研究の推進方策

本研究課題における2本目の論文``Does a larger country set a higher optimal tariff with monopolistic competition and capital accumulation?''の採択を目指す.また,また,研究成果全体をとりまとめ,政策的含意を導く.

次年度使用額が生じた理由

COVID-19による渡航制限により,成果発表のための海外出張ができなかったため.次年度には状況の改善が見込まれるので,現在進行中の研究に関する発表・調査のための海外出張を中心に支出する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] CAN THE OPTIMAL TARIFF BE ZERO FOR A GROWING LARGE COUNTRY?2021

    • 著者名/発表者名
      Naito Takumi
    • 雑誌名

      International Economic Review

      巻: 62 ページ: 1237-1280

    • DOI

      10.1111/iere.12528

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi