本研究の目的は,大国にとって最適関税はゼロとなり得るか,またそれはどのようなときか,を理論的に明らかにすることである.特に,動学的視点から大国の最適関税を再考する.自ら開発してきた企業の異質性及び国の非対称性を考慮した経済成長モデルのうち,研究開発に基づくモデルと資本蓄積に基づくモデルに,輸入関税と関税収入を導入し,最適関税を特徴付け,それらを比較する.
研究開発に基づくモデルでは,大国にとって最適関税はゼロとなり得ることを発見した.一方,資本蓄積に基づくモデルでは,大国にとって最適関税はゼロとなり得ないが,より生産性が高い(経済的に大きい)国がより低い最適関税をかけることを発見した.
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