| 研究課題/領域番号 |
19K01664
|
|---|
| 研究機関 | 立命館大学 |
|---|
研究代表者 |
稲葉 和夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (70117000)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | 直接投資 / 外資系企業 / スピルオーバー効果 / 南アジア / 産業連関分析 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究の目的は、南アジア地域における日系企業製造業の潜在的な国際競争力と地域企業の経済活動に及ぼす効果を実証的に検討することにある。特に、これまで行った東南アジア諸国、中央アジア諸国でのスピルオーバー効果分析結果と比較しながら、南アジアにおける外資系企業の直接投資のスピルオーバー効果の実証的な分析を進めている。
第2年次の研究としては、研究計画３．「計量モデルの構築と推定」を中心に、南アジア企業別パネルデータを作成し、計量分析を行った。
2020年度に予定をしていた南アジア諸国(バングラデッシュ、ミャンマー)出張は、新型コロナ感染拡大影響で次年度に延期を余儀なくされたが、2つの角度から研究を進めた。第一は、従来の中央アジアの直接投資のスピルオーバー効果の分析を拡張すべく、一事例としてウズベキスタンの産業連関表を中小企業と大企業に分割した規模別産業連関表を作成し、産業別波及効果の分析を進めた。第二は、南アジアのうちバングラデッシュを取り上げ、東南アジア諸国の一国ベトナムとの比較で外資系企業のスピルオーバー効果の分析の分析を進めた。比較対象国としてベトナムを取り上げた理由は次の点にある。1980年代後半においては両国とも一人当たりのGDPはほぼ同じ水準であったのが、30年後においてはバングラデッシュはベトナムに大きく後れを取っており、その大きな要因として海外からの直接投資、すなわち外資系業による事業活動の差によって表れていると考えたからである。実証分析の結果は、両国におけるスピルオーバー効果には顕著な差をしめした。
前者の研究成果は、Sevara Madgazievaとの共同論文にまとめている。後者の研究については、Atif UR Rahmanとの共同研究で2021年3月末の国際学会において報告を行い、海外の査読付き論文に投稿を行った。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染拡大は、予定していた海外出張断念を余儀なくされたが、オンラインの国内・国外学会の参加により、当初の計画をほぼ達成することができた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究成果に基づき、前半期に規模別に分割した産業連関表を用いて南アジアのスピルオーバー効果の推定を行い、従来の研究成果である中央アジア、東南アジアにおける外資系企業の推計結果と比較検討を行う。研究成果については、国際産業連関分析学会をはじめとする国内外の学会、ワークショップにおける報告・討論結果に基づき、論文やディスカッションペーパーにまとめ、2020年度と同様に海外の査読付き雑誌に投稿する。
研究計画４「南アジア地域における日系企業の潜在国際競争力」および研究計画５「外資系企業活動のスピルオーバー効果の分析の分析」については、従来の研究成果である欧米外資系企業の事業活動との比較検討を合わせて行う。
なお、2021年度は研究成果報告のために海外での学会報告を予定している。関連学会の多くは対面、オンラインによる開催が予定されていており、新型コロナ感染の影響下で報告形態に制約がありながらも研究成果公表に支障はないと判断している。
本研究での企業規模別スピルオーバー効果の分析結果については、2021年度の大会が次年度に延期されている国際産業連関学会に報告を予定している。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、予定していた国際会議出張が新型コロナ感染拡大のため中止となり、執行が不可能となった。
2021年度は、年度末に国際会議が対面で開催予定であるので、次年度使用額の執行が可能であると判断している。
|
