研究課題/領域番号 |
19K01668
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
溜川 健一 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (80409424)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域銀行 / 動学的一般均衡モデル / リレーションシップバンキング |
研究実績の概要 |
2021年度は、日本経済政策学会第78回全国大会において、論文「量的金融緩和政策が金融機関貸出に与える影響」を報告した。この論文は、量的緩和が銀行貸出にどのような影響を与えるかをベクトル自己回帰(Vector autoregression)モデルと呼ばれる時系列分析の手法を使って考察したものである。特徴としては、都市銀行・地方銀行のように銀行を業態別に分けて部戦績していること、使用するモデルを一つに絞らずに様々な場合を想定して分析していることが挙げられる。分析の結果、量的緩和の影響は地域銀行において相対的に弱いということがわかった。報告後、同学会の学会誌『経済政策ジャーナル』に投稿し、掲載可となっている。 他方、リレーションシップバンキングを動学的一般均衡(DSGE)モデルに組み入れ、金融政策の効果を分析している論文” Introducing Relationship Lending into a Macroeconomic Model”も引き続き執筆している。前年度からの変更点としては、リレーションシップバンキングのないスタンダードなモデルと比べて、それがあるモデルでは金融政策の効果が弱まることが示された。リレーションシップバンキングの議論にあるような銀行の情報独占による「独占」の行動が過小投資を生むためである。また、新たに銀行の顧客に対するコンサルティング機能に関する分析も付け加えている。こうしたコンサルティング機能が有効に機能する場合、情報独占から生じる独占の問題が緩和されることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は最終年度であったが、新型コロナ感染症に対する授業の準備が前年度以上に時間がかかったため、研究が思うように進んでおらず、研究期間を1年延長している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に行う予定であった、地域経済の特徴について考察した上で、地域銀行を導入したモデルを構築し、制作シミュレーション分析を実施したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度も前年度から引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響から、研究活動に遅れが生じている。これにより、執筆論文の英文校正や出張も中止しており、予算に余りが生じた。
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