研究課題/領域番号 |
19K01672
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高瀬 浩二 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (20350358)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 連関性指標 / 産業連関表 / 主要産業 / 基盤産業 / 産業振興 |
研究実績の概要 |
地域経済にとって,当該地域の主要産業部門を把握することは重要な課題のひとつである。従来,主要産業の特定には,計算が比較的容易な特化係数およびその修正版が用いられてきた。特化係数は比較的容易に入手できるデータをもとにして計算できるため,市町村レベルなどの小規模な地域経済分析には有用な手法である。しかしながら,この方法で地域経済内の産業部門間の相互依存関係を考慮することは難しい。 産業集積に代表されるとおり,ある産業部門は,現実には地域経済内で独立して活動しているわけではない。産業連関分析には,産業部門間の連関性についての多くの手法・知見が蓄積されており,産業連関モデルをもとにした連関性指標を用いた産業部門の類型化が可能である。しかし,一部の連関性指標の計測には高度な計算処理能力を要するため,行政関係者や実務家にとって利用困難である。また,それらの有用性を評価するために,様々な連関性指標について解析的・実証的検証を行う必要がある。 本研究は,上記の検証結果を反映させ,比較的簡便な方法で計算可能な連関性指標を用いて,地域経済の主要産業を把握する簡便な方法を確立することを主たる目的とする。 この目的のため,当該年度に行った研究実績は下記のとおりである。(1)数値計算ソフトウェアの実装と地域産業連関分析の基本モデルの運用,(2)地域産業連関表の収集・整備,(3)地域産業連関表の作成主体である行政への聞き取り調査,(4)地域産業連関表の加工に関する専門知識の教授のための研究者の招へい,(5)本研究課題の研究目的の広報および研究対象の概念整理のための研究会報告,(6)関連学会での関連研究の講演。 これらの活動を通して,本研究課題の研究対象に対する行政のニーズを把握し,学会内での関連研究に関する情報収集を行った。同時に,行政担当者との情報交換を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析モデルの概念整理および基礎データの収集と整理について,おおむね順調に進展している。さらに,行政および学会での広報活動を通し,研究課題の位置づけおよび有用性について検討を進めたため,当該年度の成果をもって,今後の研究の方向性の推進方策をより明確に設定した。
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今後の研究の推進方策 |
分析モデルの概念整理および基礎データの収集と整理を継続して行う。2011年版の地域産業連関表が,2020年度中に全都道府県で作成・公表される予定であるため,統計資料の整理を進める。また,作表担当者への聞き取り調査を進め,行政側から見た地域産業連関表の課題を整理する。同時に,地域産業連関表の地域経済政策への応用例の収集と検討を行う。本研究課題の研究対象である地域経済の産業部門間の連関性指標を地域の経済政策に生かすべく,行政の協力を取り付け,共同運用をの可能性を引き続き検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当該年度の研究活動が主に出張旅費が発生しない地域での研究報告および聞き取り調査が主だったためである。また,2020年度以降に行う聞き取り調査の準備のための情報収集が,旅費や人件費のかからない形式(主にインターネットを用いたもの)であったことも,次年度使用額が生じた理由である。 (使用計画) 2020年度末までに全都道府県の産業連関表が作成・公表される予定であるため,2020年度中に集中的に聞き取り調査のための出張および最新データの収集と整理を行う。それらのために次年度使用額を利用する。
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