研究課題/領域番号 |
19K01673
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40309737)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 経常収支 / 所得収支 / 貿易収支 / 構造VAR / 為替レートパススルー / 時変パラメターVAR |
研究実績の概要 |
第一に、本研究課題に関連する研究として、為替レート、輸入価格、国内企業価格、消費者物資数の四変数を用い、時変的パラメターベクトル自己回帰モデル(TVP-VAR)による日本の為替レートパススルーを計測した共同研究が、国際金融分野で国際的に評価が高い国際学術誌(Journal of International Money and Finance)に掲載された(2022年3月号)。 第二に、本研究課題の中心課題を取り扱っている日本の経常収支(貿易収支と所得収支)について、構造自己回帰ベクトルモデル(SVAR)をベイズ推定した研究成果をRIETI(経済産業研究所)からDPとして刊行した(2021年9月)。具体的な手法としては、先行研究(Forbes et al. 2017, Economic Journal)に倣い、小国DSGEマクロモデルから推察される符号制約を課すことでベイズ推定を行っている。分析の結果、国内の供給ショックや需要ショックは日本の経常収支に影響を与えないが、世界(海外)の供給ショックは日本の経常収支に統計的に有意な影響を与えることが明確にされた。刊行直後に国際学術雑誌に投稿しているが、現時点(2022年4月)でレフリーレポート待ちである。 第三に、本研究課題に関連する研究として、構造ショック別に為替レートパススルーを計測する実証研究を行った。分析手法は、上記と同じく、SVARモデルをベイズ推定するものである。研究成果については、RIETI(経済産業研究所)からDPとして刊行した(2022年3月)。刊行直後に国際学術雑誌に投稿しているが、現時点(2022年4月)でレフリーレポート待ちである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画開始から3年間で、国際学術誌論文を1点、ディスカッションペーパーを2点刊行出来ているので、研究進捗としてはとても順調である。しかし、研究を計画した時の国際学会・ワークショップへの参加は、新型コロナ感染のために実行出来なかった。計画期間を延長することにより、実行できなかった国際学会などでの発表を行い、海外研究者との研究交流を深めれると、次年度には当初の計画以上に進展したと報告できるはずである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画については既に三つの研究論文が研究実績として積み上げられている。但し、国際学術誌に掲載されているものは一つで、残りの二つは国際学術に投稿中である。今後は、投稿中の国際学術誌から棄却や条件付き採択(R&R)の連絡が届くことが確実である。まずは、レフリーコメントを参考にした改訂が最重要課題となる。 また、今年度は、新たに研究チームに分担研究者として追加されるテキ唯揚(Weiyang Zhai)氏と計量分析手法(構造VAR)に関する日本語による展望論文を執筆する方針である。この研究成果は、本研究計画の研究実績を国際金融の研究分野に位置づけを明確にするものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、海外研究者との研究交流並びに国際学会における研究報告のための海外渡航が複数回含まれていた。しかし、研究期間の2年目及び3年目に新型コロナ感染拡大のために全て中断されたため次年度使用額が発生した。 最終年度には、海外研究者との研究交流並びに国際学会における研究報告のために海外渡航を計画している。また、新たに研究分担者を一名追加して、一部の研究費を配分することで、より効率的に支出する計画である。
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