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2019 年度 実施状況報告書

非相似拡大的選好を用いた所得格差と経済成長に関する理論分析

研究課題

研究課題/領域番号 19K01674
研究機関神戸大学

研究代表者

岩佐 和道  神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00534596)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード動学的貿易モデル / 内生的時間選好 / 所得格差
研究実績の概要

本研究では、所得格差の存在や拡大が経済の成長経路や長期的均衡に及ぼす影響について分析を行う。そして、現在、拡大している国内外の所得格差が、経済成長や経済厚生にどのような影響を及ぼし、またどのような政策が有効であるかを明らかにすることを目的とする。
31年度は、decreasing marginal impatience (DMI)と呼ばれる内生的時間選好を導入した国際貿易モデルにおける、均衡の一意性と安定性に関する研究に取り組んだ。
DMIを導入することで、主観的割引率が各家計で異なりそれが所得格差の要因として重要であること、および裕福な家計ほど将来に対する割引が少ないといった実証結果に基づいたモデルの構築が可能となる。
ただし、DMIを仮定した際には、同質の家計であっても、保有する初期資産量が少しでも異なると、モデルの対称的な均衡は不安定となるため、理論分析上での困難が生じる。そのため、私がこれまで研究してきた動学的ヘクシャー・オリーンモデルに、DMIを導入することは難しかったのだが、新たに消費の外部性をモデルに組み込むことで、非常に扱いやすいモデルの構築に成功した。そして、その動学的貿易モデルにおける均衡の一意性と安定性に関して分析を行い、自らの消費が時間選好に及ぼす影響よりも、他者の消費が及ぼす影響の方が大きい場合には、DMIの仮定の下でも対称均衡は安定となることを示した。現在、このモデルを用いて、所得格差が経済成長や経済厚生にどのような影響を及ぼすかに関して、理論分析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

構築したモデルを用いての理論分析が順調に進んでおり、同時に新たなモデルの構築も行えているため。

今後の研究の推進方策

理論分析の結果を論文としてまとめ、研究報告を通じて論文の完成度を高める。また新たなモデルの構築を完了し、理論分析を開始する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた学会参加を見送ったために残額が生じたが、それは今年度の学会参加により使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 貿易と大域的不決定性2020

    • 著者名/発表者名
      岩佐 和道
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 221 ページ: 71~82

  • [雑誌論文] Time preference and international trade2020

    • 著者名/発表者名
      Kazumichi Iwasa, Kazuo Nishimura
    • 雑誌名

      International Journal of Economic Theory

      巻: - ページ: -

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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