研究課題/領域番号 |
19K01675
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大内田 康徳 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (40321517)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 社会的責任 / 環境R&D / 競争政策 / 寡占モデル / ゲーム理論 |
研究実績の概要 |
現在、国際的な潮流として、社会全体が環境低負荷型へと変化することが求められている。そして同時に、企業はビジネス戦略として社会的責任(CSR)に基づく行動を選択するようになっている。そうしたCSR行動はさまざまな産業に拡大し、多くの国の政府が自国の競争政策を立案・運用する際に無視できないほど大きな影響力をもつまでになっている。本研究課題では、寡占企業の戦略的CSR行動が「市場の失敗」による厚生の歪みを緩和し、そして同時に利潤を上昇させる状況を解明しながら、市場形態に応じた環境税の望ましい水準とその在り方について理論的な基礎を固める。さらに、環境税と企業の戦略的CSR行動が併存する状況での望ましい競争法の適用について理論研究の蓄積を進める。 研究期間の3年目にあたる令和3年度において、主な研究実績は以下の内容である。[1]複占市場において環境税が導入される状況において、望ましい課税のタイミングと望ましい汚染削減R&Dの形態を同時に考察した研究を精緻化し、Australian Economic Papersに受理・掲載された。また、[2]複占市場において環境税が導入される状況において、企業の戦略的CSRが合併行動と経済厚生にどのような影響を与えるのかについてのモデル分析を進め、基礎分析を踏まえつつ更なる精緻な考察を進めた。しかし、この分析は、次年度において、より一層の精緻化と社会実装への議論も含めた拡充を図る必要がある。成果は、国際的に高く評価される査読付き研究誌へ投稿し、掲載されるようにしたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大や投稿論文の審査結果などが影響し、当初の目的や計画に対して、順調に進展している部分とそうでない部分がある。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度では、研究成果を学会・研究会で報告したり、研究者とディスカッションを行うことで成果の精緻化を行う。また、英文論文として投稿する作業にも力を注ぐ。加えて、国内外の研究動向や実際の政策運用を常に注視しながら国際的に評価される成果が得られるように心がける。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、対面での学会や研究会がオンラインでの開催に変更になったために旅費の支出が大きな影響を受けた。また、国際的に評価されるジャーナルに掲載された最新の研究動向を成果に反映させる作業も引き続き必要になった。そのため、英文校閲や成果の発表などを次年度に実施することとなった。
|