研究課題/領域番号 |
19K01676
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清水 一史 九州大学, 経済学研究院, 教授 (80271625)
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研究分担者 |
助川 成也 国士舘大学, 政経学部, 教授 (10803588)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ASEAN / ASEAN 経済共同体(AEC) / AFTA / RCEP / 経済統合 / 自動車産業 / サービス産業 / 電子商取引 |
研究実績の概要 |
ASEAN(東南アジア諸国連合)は、2015年12月31日にASEAN経済共同体(AEC)を創設し、次の目標「AEC2025」に向けてAECを深化させている。AECは、東アジアで最も深化した経済統合である。本研究の目的は、①2015年12月に創設を宣言したAECが、実際にどこまで深化しているのか、②AECが、ASEAN各国経済や企業の経済活動にどのような影響を与えているか、③AECが東アジア全体の経済統合(RCEP)にどのような影響を与えるか、を分析し、次の目標の2025年に向けてのAECの課題を抽出し、ASEAN経済統合の特徴と発展方向を考察することである。 2020年度は、上記の①から③について本科研による2年目の研究を行った。東京におけるASEAN研究会(代表者が座長、分担者が幹事)や国際貿易投資研究会(代表者が幹事)をも活用して研究を進めてきた。コロナウイルス拡大のために、毎年行ってきたASEAN諸国における現地調査を行う事はできなかったが、これまでの調査をまとめ、また文献調査や国内でのヒアリング等を行ってきた。 以上のように研究会や文献による調査を進める中で、コロナ拡大下ではあったが、代表者、分担者共に多くの論文・著書を発表した。代表者は「ASEAN経済統合深化とアメリカTPP離脱:逆風の中の東アジア経済統合」(木村福成編『これからの東アジア―保護主義の台頭とメガFTAs―』文眞堂)や『ASEAN経済統合と自動車部品補完・生産ネットワーク」(ITI)などを執筆した。分担者も「ASEAN における保護主義の動き―新型コロナ危機における保護主義の台頭ー」(ITI)などを執筆した。またAPIR(アジア太平洋研究所)やITI(国際貿易投資研究所)等において、代表者や分担者が、多くの報告を行った。更に近々、本科研に関連する特集が、英文ジャーナルの特集論文集として発信される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、コロナウイルス拡大のために、毎年行ってきたASEAN諸国における現地調査を行う事ができなかった。本研究は、ASEAN諸国における現地調査を、代表者と分担者が共同で行ってヒアリングと資料の蓄積を行い、それを基に研究報告と論文・著書の刊行を行う予定であるが、現地調査等が困難となってしまった。ただし、これまでの調査をまとめ、また文献調査や国内でのヒアリング等をできる限り行い、多くの成果を出してきている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である、①2015年12月に創設を宣言したAECが、実際にどこまで深化しているのか、②AECが、ASEAN各国経済や企業の経済活動にどのような影響を与えているか、③AECが東アジア全体の経済統合(RCEP)にどのような影響を与えるか、の分析を更に進める。 東京においてASEAN統合の専門家が集まるASEAN研究会や、FTAの専門家が集まる国際貿易投資研究会を、座長や幹事として更に組織して開催を続け、本研究の目的①から③に関する研究蓄積と意見交換を続ける。また2021年6月には、アジア政経学会春季大会において、代表者がRCEPに関するセッションを企画して、代表者が司会並びに報告、分担者も報告の予定である。 コロナウイルスの感染状況にもよるが、2019年度と同様に、9月に代表者と分担者が、インドネシアやタイ等を訪問して、①から③の調査を進める予定である。2021年度は、ASEAN事務局等を訪問して、既知のASEAN事務局次長とも更に意見交換を進める予定である。2021年のASEAN議長国であるブルネイも訪問する予定である。また2月にも、毎年続けているタイ等における調査を行う。 現在、代表者は、英文ジャーナルから、本科研に関連するテーマの特集をゲストエディターとして依頼されており、2021年度初めに英文ジャーナルの特集論文集として発信する。代表者とともに分担者も執筆している。また代表者は、ASEAN経済統合にも関係する新たな編著『岐路に立つアジア経済-米中対立とコロナ禍への対応-』の刊行を進めており、2021年8月に刊行の予定である。代表者が編集並びに執筆を行い、分担者も執筆している。 2021年度末には科研費研究会として開催して、2021年度の科研費研究のまとめとする。以上の研究を進める中で、今年度同様、本科研による数多くの成果を発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、当初予定していた代表者並びに分担者の海外出張、更には代表者と分担者の国内出張も、全く行う事が出来なかっため。 コロナウイルスの感染状況にもよるが、2019年度と同様に、代表者と分担者が、ASEAN諸国へ海外出張して研究を進める予定である。インドネシアやタイ等を訪問する事を計画している。そのために使用する予定である。またコロナ下ではあるが、研究を少しでも進めるために、ASEAN関連の文献等を購入する予定である。
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