研究課題/領域番号 |
19K01680
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
山澤 成康 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 教授 (50348166)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | GDP統計 / 四半期速報 / 地方統計 |
研究実績の概要 |
GDP(国内総生産)統計の改善に関しては、統計委員会の国民経済計算体系的整備部会で臨時委員として改善案を発言した。また、GDP四半期速報の改善点について「四半期GDP速報の諸問題」という形で論文にまとめた。また、その内容の一部を東京財団政策研究所の論考「GDP統計の発表は早ければよいのか〈政策データウォッチ(20)〉」として発表した。 シェアリングエコノミーのGDP統計への実装については、内閣府国民経済計算部が発行する『季刊国民経済計算』に「シェアリングエコノミーの把握と国民経済計算への反映に向けてーシェアリングエコノミーの定義と生産物分類」を執筆した。シェアリングエコノミーの定義について考察し、GDP統計への反映に貢献した。またその内容について、作間専修大学教授が主宰する国民経済計算研究会などで発表した。 ビッグデータを使ったテキスト分析については、オペレーションズ・リサーチに関する国際学会であるEURO2019で発表した。景気ウオッチャー調査に収録されている景気に関するコメント(テキストデータ)を使って景況感判断する方法を考案した。機械学習については、決定木やランダムフォレストの手法を使って、景気動向指数系列から景況判断を予測する方法を検討し、日本経済研究センターで開催されたマクロモデル研究会で発表した。 また、島根県の「県民経済計算四半期速報の評価・検証」検討委員会委員として、島根県の県内総生産四半期速報の改善に勤めた。総務省統計研究研修所で「経済・金融統計の見方」や「政策立案と統計分析」の講師を務め、統計人材の育成に努めた。内閣府の景気ウオッチャー調査の委員として富山市で講演した後、地域経済に関して意見交換した。埼玉県の景気動向指数懇話会の座長として、埼玉県の景気動向指数の改善に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統計改革に関する論文として「四半期GDP速報の諸問題」を発表したほか、社会への発信もした。都道府県統計への支援という意味では、島根県の四半期県民経済計算速報に関して支援が十分できた。 本年度の計画の柱の一つである、「GDPと景気の関係の検証」については、島根県の県民経済計算と島根県景気動向指数の関連を検証する際、全国ベースのGDPと景気動向指数の関係についても検証した。その内容は、総務省政策統括官(統計基準担当)の報告書である「令和元年度地方統計機構支援事業について-県民経済計算四半期速報の評価・検証(島根県)-」に記載されている。 もう一つの柱である「ビッグデータのデータ整備、分析手法の研究」に関しては、ダブリンで開催されたEURO2019で、"Forecasting Turning Points of Business Conditions by Quantitative Text Analysis"という論文を発表した。景気ウオッチャー調査の景気判断に関するコメントをビッグデータとしてとらえたもので、分析手法としてニューラルネットワーク、サポートベクターマシンなど機械学習を使った。
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今後の研究の推進方策 |
今年は、2019年度から執筆していた統計改革に関する書籍が出版される予定である。その校正や仕上げに注力したい。 研究計画では柱の一つが「都道府県別景気とGDPの関係の検証」である。特定の都道府県(埼玉県など)について、景気動向指数と県民経済計算の関係を検証し、一般化できるかどうかを検討する。 またGDPナウキャスティングについて、「ビッグデータを利用して試算」することも計画している。データの利用可能性を検討して、GDPの速報化ができる方法を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ダブリンへの出張への旅費支出を40万円予定していたが、大学の研究費を使ったため、次年度使用額が生じた。 2020年度の外国出張で使用する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で、すでに一つの外国出張が中止となった。年度後半に学会が開催され、出席できる環境であれば参加する。出張が無理な場合は機械学習などの高度な処理能力が要求される研究を容易にする高性能コンピューターを購入したい。
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