研究課題/領域番号 |
19K01680
|
研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
山澤 成康 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 教授 (50348166)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 統計改革 / GDP / シェアリングエコノミー / 機械学習 |
研究実績の概要 |
2020年度はGDPの基準年改定が行われ、シェアリングエコノミーの反映などいくつかの分野で改善が進んだ。改善内容に関しては統計委員会臨時委員として説明を受け、おおむね計画通り進んでいることが分かった。また、新型コロナウイルスの感染拡大で、既存の推計法では追いきれない部分について業界統計の導入などが試みられた。課題としては、分配面のGDPの推計が当初計画より遅れていることが挙げられる。それらについて、東京政策財団REVIEW「GDP統計はどこまで改善できたか」にまとめた。分配面のGDPの推計法についても研究を進めた。2021年度に論文としてまとめる予定である。 2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大で、埼玉県の景気動向指数懇話会が書面開催になるなど、都道府県担当者との意思疎通が難しくなった。このため、2020年度は、都道府県の統計改善よりも、シェアリングエコノミーなど国の統計改革に資する研究に重点を置いた。 機械学習の研究については、景気動向指数の構成指標を使って景気局面判断を行ったものを日本経済学会で発表した。その成果は跡見学園女子大学マネジメント学部紀要にまとめた。機械学習が景気局面の判断に応用できることがわかったが、それをGDP統計のナウキャスティングに応用することが課題である。 統計改革全般については、西村・山澤・肥後(2020)『統計 危機と改革』を出版した。 これまでの統計改革の活動や今後の課題について包括的に記した書籍である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実施計画」では、2020年度、(1)GDP基準年改定への対応と、(2)都道府県景気とGDPとの検証、(3)ビッグデータを利用したGDP速報値の試算--を挙げていた。 2020年度は、統計改革に関する図書の出版が実現できた。この中には基準年改定に伴うGDP統計改善に関する記述も含まれている。 機械学習に関しては、学会発表や論文発表を進め、景気の転換点の判断に応用できることがわかった。 都道府県別のGDPについての研究は新型コロナウイルス感染拡大期だったこともあり、2021年度以降のテーマとした。一方で、シェアリングエコノミーの統計的な把握についての研究が進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度に力をいれる分野は、景気とGDPの関係の検証である。埼玉県など一部の都道府県について、景気とGDPの関係について検証したい。 また、ビッグデータと景気との関係について、引き続き研究を続けたい。ビッグデータを使って、GDPのナウキャスティングを行い、精度の検証をしたい。 生産面GDPの速報値については、内閣府が公表予定なので、公表数値の評価を行う。分配面のGDPに関しては、内閣府の公表が遅れているため、公表に資する研究を進めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ感染拡大下で、海外出張に行くことができず、旅費の支出ができなかった。オンライン会議関連の物品費を計上し、研究環境整備されたため、オンラインでの国際的学会への参加は支障なくできた。2020年度の計画額はおおむね支出することができたが約14000円が次年度使用額として残った。2021年度も海外出張に行くことが困難と予想されるため、物品費などに充当したい。
|