2023年度は研究期間の最終年度ということもあり、これまでの成果を広報する活動を中心に行った。著書『回帰分析から学ぶ計量経済学』は、統計分析の入門書であり、公務員の利活用を念頭に置いて著した旨を記した。財務省に対しては、統計ソフトEViewsの活用方法に関する動画を作成した(財務省職員のための経済・データ分析)。広く公務員向けに動画を作成している総務省統計研究研修所に対しては、「初めて学ぶ統計」(動画)の更新、データアナリスト研修の「統計分析概論」(動画)を作成した。「統計分析概論」に関しては、パワーポイントの作成、セリフのチェック、動画への出演など総合的に関与した。また一般向けにも統計の利活用に関する論文「統計データ利用の現状」を作成した。 研究計画上は研究期間の初期段階でやる予定であった、「実質GDPと景気動向指数との関連」について論文を書いた(「景気動向指数CIから実質GDPを推定する」)。都道府県別月次実質GDPの推計について、当初は景気動向指数をもとに作成することを想定していた。しかし、鉱工業生産指数や建設総合統計、第3次産業活動指数など生産側の指標を使って都道府県別GDPが作成できることがわかったので、生産側からみた都道府県別月次実質GDPの作成を優先した。その後、新型コロナウイルスの感染拡大があり、緊急事態宣言が経済活動に及ぼす影響などの分析に注力した。2023年度になって、感染拡大が落ち着いたため、所期の目標である、「都道府県別の景気動向指数を使って、都道府県別都道府県別月次実質GDPを作成すること」を試みた。
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