研究課題/領域番号 |
19K01689
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研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
袁 媛 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (40609773)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 買収 / イノベーション / 特許 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、被買収側日本企業に所属していた技術者の発明行動の長期パネルデータを構築すること、買収によるイノベーションのメカニズムを明らかにすることである。本年度の研究成果は以下の通りである。第一に、被買収側日本企業に所属していた技術者の発明行動の長期パネルデータ構築については、2021年度では進捗が遅れているため、2022年度でも行う予定である。第二に、前年度構築した計量モデルに基づいて、中国企業による日本企業の買収を事例として、買収に伴う技術者の移動状況と技術の波及効果について分析を行った。具体的には、まず、どのような技術者が買収側の中国企業に移動したか(以下Stayers)、どのような技術者がその他の日本企業に移動したか(以下Movers)、どのような技術者が研究開発から退出したか (以下Quits) について分析を行った。次に、買収後、StayersとMoversの研究開発のパフォーマンスについてどのような変化があったかを分析を行った。その結果、買収前に研究業績の良かった技術者が中国企業やその他の日本企業に移転することが確認できた。また、買収後Stayersの業績はMoversと比べて、低下することが判明した。しかし、Stayersの発明も中国側技術者により多く引用されるようになったことも明らかになった。企業買収について様々な研究が行われてきたが、買収に伴う技術者の移動について分析していることは本研究の特徴であり、買収の研究に新たな貢献を加えられると考える。現在上記の分析結果をもとに英語論文をとりまとめており、原稿修正を経て投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響及び育児のため、研究に使う時間が限られ、データの構築作業に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、以下の三点について研究を進める予定である。第一に、2021年度にまとめた英文論文について修正を完了し、海外学術誌に投稿する。第二に、外国企業に買収されたすべての日本企業の元技術者の特許データベースを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ構築と論文執筆するには最新のデータを使用したほうが望ましい。 そのため、中国企業の特許データ(SIPO Patent Database)とレコフのM&Aデータベースをアップデータする必要がある。 また、必要に応じて、高性能のPCを購入する可能性がある。
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