人的資本投資の収穫逓増効果は,公的な教育投資の効率性にも関わる問題であるため,学術的な関心だけでなく,実際の政策立案の観点からみても重要なテーマである。これまでに多くの研究者がその効果の実証を試みてきたが,結果は一致していない。さらに,先行研究の多くは先進国を対象としたものであり,途上国における人的資本投資の外部効果に関する研究はまだ蓄積が十分ではなく,明確なエビデンスは示されていない。本研究の意義は,インドネシアの企業パネルデータや歴史資料,地理情報システムデータなどを使って,この効果の存在を検証し,その結果,人的資本の地理的集積が収穫逓増効果をもたらしていることを実証的に示した点にある。
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