研究課題/領域番号 |
19K01691
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安部 由起子 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (50264742)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | シングルマザー / 空間統計 / 就業 / 地域 |
研究実績の概要 |
安部由起子・河端瑞貴・柴辻優樹の3名による共同研究として、母子世帯の子供の空間的分布に関する研究を実施し、その成果を発表した。具体的には、日本全国の市町村別に、6歳未満、および、6歳-18歳の子どものうち、どれだけの割合がシングルマザーに育てられているかの指標(以下、母子世帯の子供率)を、2000年・2005年・2010年の国勢調査の公表データから算出した。この割合には大きな地域差があり、特に北海道・沖縄・九州の一部の地域で母子世帯の子供率が高く、大都市圏ではその比率が低い傾向にあった。さらに、地理的に近い市町村で母子世帯の子供率の高さが似通っている、空間的な集積の存在が確認された、空間的回帰分析の手法を用い、市町村の属性(市町村平均所得の対数、離婚率、転出率、保育資源の供給)と母子世帯の子供率の関連を調べた。その結果、市町村所得が低い地域・転出率が高い地域で、母子世帯の子供率が高いことがわかった。この研究の成果を、複数の学会で報告した。そのうち、CSIS DAYS 2020においては、この研究が優秀共同研究発表賞を受賞することができた。この研究の成果は、"Spatial clustering patterns of children in single-mother households in Japan"(Journal of Spatial Econometrics, 2021)に公刊された。また、上記の研究とは別に、国勢調査・就業構造基本調査の匿名データを用いて、シングルマザーの就業の実情とその推移についての分析を行なっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この課題では、国勢調査・就業構造基本調査の匿名データを用いた研究を実施しているが、新型コロナウィルス感染予防のために、大学への出勤と研究室への入室時間を制限する措置が取られた期間があり、その期間、分析のための時間をとることができなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
国勢調査・就業構造基本調査の匿名データを用い、シングルマザーの就業にかかわる統計的分析を行なう。母子世帯の子供率には大きな地域差があることがわかったので、就業の分析にあたっても、地域的側面を重視した分析を行なう。具体的には、シングルマザーの就業の地域差の大きさを把握し、さらに地域の労働需要とシングルマザーの就業がどのようにかかわるのか、の分析を計画している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、研究発表等のための国内外への移動を伴う出張は実施しなかった。2021年度について移動のための旅費が不要になるならば、その部分は使用しないことになると予想される。2021年度から新たに導入されるバイアウト制度を用いて、研究のための時間を確保し、これまでやや遅れている研究を進めたいと考えている。
|