研究課題/領域番号 |
19K01700
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
北條 雅一 駒澤大学, 経済学部, 教授 (30362601)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アカデミック・レジリエンス / 学校教育 / 人的資本 |
研究実績の概要 |
本年度は,本研究課題の研究計画書に記述した【学術的な問い】の②「アカデミック・レジリエンスを高めるために有効な教育政策は何か」に関連する研究を遂行した。具体的には,これまでの研究成果を発展・深化させる形で,少人数学級が生徒の学業成績の向上にもたらす効果を検証した。本研究課題の遂行に寄与する分析結果として,少人数学級の導入が社会経済的に不利な環境にある学校に通う生徒の学業成績をより大きく向上させる効果があることを発見した。換言すれば,学級規模の縮小によって,社会経済的に不利な環境に置かれている生徒個人のアカデミック・レジリエンスを高める可能性があることを示唆する結果であると言える。このことは,【学術的な問い】の①「アカデミック・レジリエンスは個人固有の特性なのか,あるいは学校や教師を通じた何らかの介入によって高めることができるのか」について,一定程度は後者の可能性があることを示唆するものとも考えられる。なお,この研究成果は査読付きの専門学術誌であるJapan and the World Economy誌に掲載され,各種ソーシャル・メディアでも取り上げられた。 上記の論文執筆と並行して,本研究課題のその他の研究計画についても作業を進めた。具体的には,アカデミック・レジリエンスに関連する先行研究の入手・整理,最新のTIMSSおよびPISAの分析用データセットの作成等である。また,ある地方自治体から児童・生徒の詳細なデータの提供を受けられることとなり,本研究課題の遂行に大きく寄与することが考えられることから,当該データのクリーニングおよび予備的分析も合わせて開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に想定した年度毎の研究計画に沿っておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初に想定した研究計画に基づき,今後は最新のTIMSSやPISAデータを使用して,アカデミック・レジリエンスの計測およびその規定要因についての分析を進め,研究成果を学会等で報告する予定である。また,新たに利用可能となった自治体提供のデータセットの活用も進めるが,分析結果の公表については自治体との調整が必要であるため,現時点では予定していない。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内の研究会が中止となり,国内旅費として予定していた金額を次年度使用額とした。この金額は,次年度の国内旅費として使用する予定である。
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